2008年1月16日水曜日

今週の倫理 (542号)より 実行は己を変え、継続は力となる

「知りて行なわざれば、知らざるに等し」
 ゴルフを理論的にいくら勉強しても遠くへ真っ直ぐに飛ばすことができないように、学びは実行されなければ、何の意味もなさないことを表わした格言の一つです。
 インターネットなどの情報ツールの発達により、簡単に必要な知識を得られる現代ですが、実行が伴っておらず、〈豊かに生きる〉ための学びから大きく逸脱している状況が多く見られます。
 よいと思ったら実行に移し、繰り返し行ないましょう。習慣化することが人生を豊かにし、会社を発展させることにも繋がっていくのです。

東京都M市に工務店を構えるA氏は、低迷傾向にある建築業界にありながら、創業から現在に至るまでの三十六年間、赤字決済はなし。環境性に優れ、経済性、耐久性にも考慮した住宅を取引業者と連携して開発し、東京都街づくりプロジェクトに参画する四社中のひとつに選ばれ、昨年はグッドデザイン賞、エコビルド賞などを受賞しました。モデルハウスには現在も同業者・行政・国内外建築家が訪れます。
A氏は「決めたことは必ずやる」「継続は力なり」を三十年来のモットーにし、独立するときに決めた「職人や下請け業者をいじめない」「お客様の一生一度の住宅づくりである」などの理念を一貫して実施していくと共に、倫理を学び始めてからは、早朝の道路清掃、社内トイレや床の清掃を毎日行なっています。
あきらめず、妥協せず、言動で示し続けた氏の姿勢が、人や環境を大きく変えていきました。数十年間、人材育成に費用と時間を掛けてきた氏にとって、社員が率先して清掃するなど、積極的な言動に変わり社風が刷新しつつあることを、心から喜んでいます。
良いと思ったら、とことん行なう氏の姿勢は、私生活でも健在です。経営者セミナーに参加し、妻への感謝を実感。その日に帰宅後、即実行に移し、詫びと感謝を一週間行なって以来、妻への朝の挨拶を毎日続けています。
「三年後には後継者に代表を譲ります」と社内外に伝える氏の言葉には、自信と確信に満ち溢れています。
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生きていく中で、人は反射神経と同じように独自の習慣や習性を身につけるといわれています。自他共に喜ばれ、前向きな習慣を身につけているか、あるいはそうでないかでは、豊かな人生を創造する上で大きく違ってきます。
悪癖から脱却し、成功のレールに乗るためにも、「知っているだけでは何も変わらない」ことを心に留めましょう。良いと思ったら志を立て、率先して実行し、「雨垂れ石を穿つ」「盥(たらい)の水を箸で回す」などの言葉にあるように繰り返して行ない、さらには人に影響を及ぼしていくところまでとことん取り組み、成功の栄冠を自らの手で掴んでいきたいものです。
継続は力なり。「反復」は間違いをなくしていくばかりではく、生活に節を入れ、引き締め、活を入れ、動かぬ信念を育むのです。志は実行によっていよいよ高まり、継続によって確立していくのです。

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