2008年1月23日水曜日

今週の倫理 (543号)より 確固たる倫理観が企業盛衰の鍵をにぎる

昨年は経営を取り巻く環境で、驚愕するような不正・偽装事件が頻発したことは、今も記憶に残っていることでしょう。
多くの旅行客が買い求める、銘菓や名産品を販売する企業による諸問題。賞味期限や商品の中身を偽って販売するということ等は、本来は逆に経営者が充分に意識し、注意しなければならない事柄でした。
人の生活と密接する食。その安全性は、本来企業が徹底して管理しなければならない問題であるにもかかわらず、その扱いがあまりにも杜撰で、経営者の人格が問われる出来事であっただけに言葉を失います。商品を製造販売した経営者は、何も知らずに食している顧客のことを、果たしてどう考えていたのでしょうか。自社の商品を一度でも食したことがあったのでしょうか。
 法を無視すれば責任が問われるのは当然ですが、十年前に倫理性が問われた事件や不祥事が頻発した際、岡山大学法学部の神山敏雄教授が「夕刊フジ」に次のような記事を寄せました。
 企業倫理は、企業として踏み行なうべき道ということになるが、(中略)しかし、現在では企業倫理のほとんどは法律によって規範化されていないものである。たとえ法律違反でなくても、企業倫理に違反する行為があれば、それは法以前の企業倫理の観点から社会的批判を浴び、新たな立法によって禁止される場合がある。
その後の世の動きを見ると、神山教授が指摘した通り、倫理にもとる企業は法的に罰せられています。倫理という、人の道を甘く見て、そして踏み誤った企業は、やがて世の中から淘汰されています。
この世は、きめごとによって成り立っている世界です。企業が発展繁栄の道を歩むためには、「倫理」を甘く見てはなりません。今こそ経営者は気を引き締め、社が一丸となって倫理経営の推進をはからねばなりません。
では、企業盛衰の鍵をにぎる「倫理」の実践には、いかなるものが挙げられるでしょうか。その鍵は、多くの経営者が過去に歩んできた道の中にあります。
第一は、「きめごとを守る経営者であること」です。経営手腕に長けていることが企業繁栄の道を歩むことにつながりますが、それだけではありません。その根本に、人間性の確立があって初めて、社会全般からの信頼が得られるのです。「徳は基なり、財は末なり」と言われます。徳を磨かなければ、企業の繁栄は為し得ません。
第二に、「創業者・先代・親につながること」です。今、自分がここにこうして存在できるのは、親祖先から命を分け与えていただいたからであり、経営者としての立場が全うできるのは、創業者・先代のお蔭であるという根源的な恩に目覚めることが、非常に重要な意味を持ちます。
第三に、「夫婦愛和の生活を目指すこと」です。なぜならば、生成発展の基がそこにあるからです。「商売は、夫婦の和合がその根本である」との所以が、そこにあります。
私たちは、多くの人やたくさんの物や、移り変わる自然の恵みを、その身いっぱいに受けて商売が成り立っていることを決して忘れてはなりません。「恩の自覚」こそが、人間の程度を推し量る物差しであるといわれます。多くの恵みに感謝しつつ事業に徹し、大きな仕事を成し遂げていきたいものです。

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