2008年6月27日金曜日

今週の倫理 (565号)より 人天に順えば、天また人に和す

梅雨の季節を迎え、鬱陶しく感じている方も多いのではないでしょうか。

 新聞の記事によれば、沖縄や奄美地方では例年五月前半に入梅し、九州南部も五月末には入梅することが多いようです。本州でも五月には「梅雨の走り」といわれ、三日に一度は一ミリ以上の雨が降り、一ミリ未満の弱い雨が降る日を含めると、東京辺りでは二日に一度は雨が降っています。

 さて、私たちが学ぶ純粋倫理という、よりよく生きるための心の生活法則では、自然の恵みである天候気候に対し、不足不満を思わず、恵みであると感謝して、日々、天候気候に順応した生活をしていると、不思議と天候気候に恵まれた生活を送れるようになると説いています。

 これは「人天に順(した)がえば、天また人に和す」などと表現されますが、この言葉は、自分の力ではどうすることも出来ない自然の営みに対し、不足不満に思って不機嫌に心を曇らせて生活することの愚かさを戒め、どうにもならないことは、そのまま、ありのままを素直に受け止め、明るく朗らかに屈託なく生活することの大切さを教えてくれます。

 明るく朗らかな心の持ち主には、明るく朗らかな環境が開け、そうでない人には違う環境が用意されていることを、先人たちは経験的に知っていたのでしょう。
天候や気候に対し、「鬱陶しい」「寒くていやだ」「暑くていやだ」などと不満に思っている人は、こうした経験則に基づいて、心の在り方や据えどころを変えてみてはいかがでしょうか。きっと今までと違った、明るい環境が開けてきます。

毎日のように変化する天候や気候に不満を持つ人は、日々そうした心のあり方を積み重ねていくだけに、心のあり方が悪い方に積み重なり、もう癖になってしまっている場合も少なくないようです。その日の天候に感謝するか、不満に思うか。一見、小さなことに思えることに意識を向け、変えていくことが自己改革の近道です。

漢方薬のように、効き目はゆっくりですが、確実に効果が上がります。
小さなこととは、日常足下の当たり前に思えるようなことです。こうした小さなことに意識を向けて磨きをかける訓練をするには、むしろ梅雨の季節は絶好といえます。

「今日は天気がいい」「また雨か…」など、私たちは毎日の天気に一喜一憂して心をマイナスに動かしたりプラスに転じたりしています。中には雨が好きという方もあるでしょうが、梅雨時は毎日のように雨が降り、気温も湿度も高く不快指数が増す季節。これを逆手にとって、自分を変える楽しい季節としてみたいとは思いませんか。

自己改革というと、山に籠もるとか滝に打たれるなど、非日常的かつ特別なことをしないと叶わないように思いがちですが、「小さなことに意識を向けて変える」という、ほんの日常の些細なことからも可能なのです。
自己改革に取り組み、明朗で闊達な心境に達したとき、「天また人に和す」不思議な世界も開けてきます。
この季節、「雨もまたよし」と朗らかに受け切り、実際に声に出すと、その気になってきます。試してみてはいかがでしょう。

2008年6月24日火曜日

6月24日 モーニングセミナー 「後始末の効用」

本朝は倫理研究所法人局、松本光司研究員の講話です。

後始末とは物事の終わりではなく、次のスタートの準備です。

たとえば1992年当時のニューヨークでは殺人事件の数が2154件、重罪事件の数が626812件ありました。
この状況を憂い、当時の市長は110億円以上を投入して地下鉄の落書きを消すなどの清掃活動を行いました。
その結果、5年後には1997年には殺人事件が70件と約60パーセントの減少、重罪事件においては355893件と約半分になりました。

これが世に言う「割れ窓理論」ですが、これを企業経営にも反映させて考えてみると、まず汚い場所にいるとやる気が出てこないものです。その結果として営業力の低下、健康被害、注意力の低下や散漫、ひいては労働意欲の低下につながるのです。

いらないものを捨てて、よどんだところを作らないように気を配り、社内をいつもすっきりさせておくと大切なひらめきも生まれてきます。

では、どんなものを捨ててすっきりさせたらよいでしょうか?

研究員は、4点挙げています。

1 過去の栄光や思い出
2 レベル(品位)を下げるもの
3 いつか使えると思うもの
4 もったいないと思うもの

一見、エコに反していそうですが、会社にも自宅にも入れ物としての限界があります。
もったいないだけで、何年も使わないものなら、取捨選択をされるとよいでしょう。という講話でした。

2008年6月20日金曜日

今週の倫理 (564号)より 職場の教養の活用が社員の変化を呼ぶ

倫理法人会の会員には、特典のひとつとして会費一口につき『職場の教養』という小冊子が三十冊贈呈されます。
 同誌は職場の朝礼に活用するもので、社会人としての行動指針や人としての心のあり方など、毎日多岐にわたるテーマで一カ月分をまとめてあります。

 使い方は各社で自由ですが、基本的にはリーダーを決めて、そのリーダーが本文の最初と最後の段落を読みます。途中の段落はリーダーが「ハイ」と区切り、それを受けて次の読み手が積極的に「ハイ」と返事をして読み進めます。
全文を読み終えた後にリーダーが感想を一言述べ、最後はリーダーの音頭に合わせて、具体的な実践の目標が示された「今日の心がけ」を全員で唱和します。

 多くの倫理法人会会員企業が活用していますが、様々な喜びの声が担当者のもとに届いています。
 次に紹介するのは、三十代の女性社員から送られてきたミニ体験です。

 私は中途採用で今の会社に入社しました。ところが二十二歳の女性社員で、なんとなく苦手な子がいました。

年は私が上なのですが、彼女の私に対する視線には「後から来たくせに」という冷たいものを感じます。しっくりいかないまま数日間が過ぎました。

 そんなある朝、『職場の教養』の「今日の心がけ」に「先手で挨拶をしましょう」とあり、ハッとしました。挨拶もせず、言葉も交わさずでは、ますます気まずい雰囲気になってしまう。勇気を出して自分から声をかけてみようと決意しました。そして翌朝、私は思い切って彼女に「おはようございます」と挨拶をしたのです。すると彼女からも「おはよう」と挨拶が返ってくるではありませんか。これを境に彼女の視線から冷たさが消え、古くからの仲間のように温かく気軽に接してくれるようになったのです。

 以前の職場では朝礼はありませんでしたし、もちろん『職場の教養』を読んだこともありません。今この職場で『職場の教養』に出会えたことをとても嬉しく思っていますし、たった一言の「おはよう」がこんなに人間関係をスムースにするとは、私にとって初めての体験でした。

 どの職場でも初めて『職場の教養』を導入した時には、社員からは様々な反応があるものです。「仕事と何の関係があるんだ」「こんなことをやっても時間の無駄では」など。しかしここでトップが挫けてしまえば、すべてが水泡に帰します。

 ものごとはいったん始めたらとにかくやり続けることです。やり続けるうちに、必ず社員にもその良さや必要性は伝わります。また、そう信じてトップが真剣に取り組むことが大切です。
続けるうちに「社員が積極的になった」「自分の考えをハッキリと言うようになった」など、その変化を感じられるのはトップにとっても最高の喜びです。一日一日の積み重ねですが、その成果は計り知れないものがあるのです。

2008年6月13日金曜日

今週の倫理 (563号)より 繁栄への道は早起きから始まる

倫理というと、堅苦しいものと思い、少し構えてしまう人があるようですが、そんなものではありません。特別むずかしいことでもないのです。

倫理の学びは、朝起き、あいさつ、返事・笑顔・後始末といった、人として社会生活をおくるために当たり前のことを、しっかり実践していくことなのです。

この教えをあらゆる業界の経営者が企業経営に活かし、基本的な事を実践して素晴らしい企業風土を育んでいるのです。そして日々の実践活動を通じて社会のために仲間づくりを楽しみつつ、「日本創生」に向かっていこうというのが私たちの目的です。

まずは、朝起きの実践です。「朝起きは繁栄の第一歩」という標語をかみしめましょう。朝、目が覚めるということは、自分の力ではなく大自然の力によるものです。大自然の大きな力で生かされているのが私たちなのです。

グズグズしていて何の得があるでしょうか。毎日のグズグズ時間によって、精神的・物理的に失うものの蓄積は、ばかになりません。

今日一日が私の、あなたの人生です。そして、今日は二度と戻ってこないのです。「やり直しができない」と気づいたら、のんびり朝寝などしてはいられないでしょう。朝は一日の出発、スタート。お互いに持っている能力や個性を発揮する第一歩と心得て、模範となる朝起きの実践に磨きをかけていかねばなりません。
朝起きを実践している人は、仕事を追いかける人になっていきます。仕事を積極的に追いかける人は、仕事が順調に進み、人が都合よく来てくれます。営業の話がより良くまとまり、外回りでの交通の流れまでがスムーズに運んでいくのです。

T氏は、六年前から朝起きの実践に真剣に取り組むようになりました。倫理法人会が主催する「経営者モーニングセミナー」に積極的に参加しています。

午前六時からの「経営者モーニングセミナー」への参加を一つのきっかけに、毎日午前四時には起床。会社に一番乗りをすると仕事も効率よく進むことを身をもって体験しました。
S氏は、健康不安をいだきながら消極的になっていたことを反省し、生活を朝型に変えて積極性を高めました。するといつの間にか、先手の挨拶と「ハイ」の返事が身についてきたのです。健康への不安は、いつしか消えていったことはいうまでもありません。

N氏は、倫理は実践することで身につくものと心し、様々なことに挑戦しています。
朝起きの実践、そして夫婦での朝の挨拶、トイレ清掃と、すべてに喜んで磨きをかけているのです。
「自分に負ける人は何をやっても大成しない。朝起き一つ出来ずに何ができるか。『ねむたくばいつまでも眠れ墓の中』」(「清き耳」丸山敏雄著)といわれるように、倫理の実践は日常のごくごく当たり前のことであって、誉められたり、はやし立てられたりするものでもありません。朝起きは繁栄の第一歩と心得れば、おのずと私たちがするべきことは見えてくるはずです。

2008年6月6日金曜日

今週の倫理 (562号)より 心ひとつになる時 社全体が輝きを増す

 時代の変化は、年々早まってきているようです。ひと昔といえば十年だったものが、現在では一年一昔となり、十年は大昔にさえ思えるほどです。この急激な変化の中、厳しい競争に勝ち残るためには、社長の人間力を中心に全社員が一丸となり、いかなる経営環境の変化にも対応できる組織力を持つことが大切です。

 中小企業の強み「三条件」としてよく聞くのが、「労使の一体感」「機動力」「マーケット感覚」です。

「労使の一体感」とは、いうまでもなく社長中心に全社員の一枚岩体制です。「機動力」は、即実行・即対応であり、徹底した顧客サービスなどです。「マーケット感覚」とは、顧客ニーズを肌で感じて、それに対応していくことでしょう。経営者の誰もが、この「三条件」を軸に、様々な経営危機を乗り越えて、今日の基盤を造ってきたわけです。

 ある地方で、民間車検工場中心に板金・塗装工場を経営するT社長は、「うちは、いかなる経営環境の中でも、勝ち残る自信がある」と言い切ります。その理由として、「顧客のために」を念頭に、親切・丁寧・真心のサービスを実行していることを挙げます。それも社長の命令や指示によるものでなく、社員各々が積極的に話し合いながら取り組んでいるというのですから、社長の自信も頷けます。

 社員の仕事は、始業時間前のミーティングから始まります。その日の仕事の確認をはじめ、予約客に対しては到着時間を見計らって入り口に立って迎える、帰りの際は出口まで行って丁寧に見送るなどまで話し合うのだそうです。また、その日のすべての仕事が終了しても、すぐに帰るのではなく、ミーティング通りに仕事が進められたかどうかを全員で反省します。良かった点は続行し、悪かった点は即座に改めるなどの努力を重ね、現在の「三条件」を満たす社風を作り上げてきたのです。

 同社には社員の応対力の高さがあります。待合室のみならず工場内がきちんと整理され、チリ一つありません。その待合室には飲み物が準備され、ゆっくりとくつろげるソファーもあるのです。さらに驚いたことに、その待合室から工場内がすべて見えるようになっているのです。客の誰もが、自分の愛車を大事に扱ってくれている様子を確認でき、嬉しくなるでしょう。あたかも工場内において、人と物とが一体となって、喜んで働いているかのようです。T社長は「私はただ、社会貢献を目的に経営を進める一方、社員の物心両面を高めることに努めてきただけです」と控えめです。

「事業の倫理」に、「『この仕事は、あくまで、世のため人のためにするのだ』という目的がはっきりと立って、いつまでもそれ(初志―創業精神)を貫きとおす、これが繁栄の秘訣である」とあります。さらに「一つ心にかたまって、思いきって行なうとき、ここに奇蹟が現われる」とも教えています。これこそが、経営者の人間力を高める大きなポイントであり、また社員が心一つになって顧客志向の実践に向かう不動の柱となるものなのです。

2008年6月3日火曜日

6月3日 モーニングセミナー 「海の安全・安心について」


本日は前海上保安庁長官 石川裕己さんの講話。


日本近海における多くの事件・事故の発生と海上保安庁の活躍を海保ジャーナルという海上保安庁広報誌を使って、ご講話いただきました。

海上保安庁は不法入国船舶の監視の必要性から、バラバラだった行政組織を統一して昭和23年5月に海上保安庁が発足しました。

海上保安庁旗は旧海軍とは違うという意味から、色は赤ではなく青とし、マークは錨ではなくコンパスなのです。(現在も警察の一機関)

昭和35年くらいからタンカーの事故も多く発生し、火災および海の汚染というのが問題となり、昭和40年代には全日空の羽田沖墜落事故も起きました。

日本は四方を海に囲まれた島国であるため、領土は238万平方キロメートル(世界で61番目の広さ)しかありませんが、排他的経済水域(200海里)は447万平方キロメートル(世界で6番目)、海岸延長キロは3万5千キロ(世界で6番目)の長さを有する国であり、また日本は貿易立国ゆえ、輸出入で成り立っている国であるため、国際貨物の99パーセントが海上運輸に頼っています。

また、油類、セメント、鉄鉱石などの基礎物資は日本国内においても80パーセントが船舶で運ばれているわけです。

食料においても、約60パーセントが海外からの輸入に依存している日本では、そのほとんどが船で運ばれてきていて、エネルギーにおいてはその90パーセントが船便です。

こうした日本の生命線、海上の安全を1万2千余名の海上保安庁のみなさんが守ってくれています。

普通に生活していると気がつかないのですが、日夜日本の安全を守ってくれている人たちがいることを思い起こすモーニングセミナーでした。