2008年9月26日金曜日

今週の倫理 (579号)より 「誓い」の継続で一日の流れをつくる

スポーツの秋たけなわ。各種スポーツをテレビで見ていると、よく「流れ」という言葉を耳にします。「試合の流れが変わった」「まだどちらに流れが傾くかわかりません」などです。この「流れ」は、チーム状態の変化について使われると共に、個人においても存在します。

 例えば、プロの世界においても、一流の選手ほど自分でよき「流れ」を作ることができ、二流で終わる選手はよい資質を持っていても、「流れ」を作る術を身に付けられません。したがって、年間を通して好成績を残せず、わずか数年でプロの世界から去らなければならないといいます。

 よき「流れ」を作るために一流選手が心がけることとして、毎日の準備を万全に行なうということが挙げられます。心を惑わせないように、いつも通りに同じ時刻に球場に入り、同じ準備体操をし、同じ練習をきっちりとこなしていきます。

 行なうことの一つひとつは、誰もが出来る当たり前のことですが、この当たり前のことを毎日毎日淡々と、そして心を込めて繰り返すことができる選手であってこそ、自分で今日一日のよい「流れ」を作ることが可能になります。一方で、二流で終わる選手は、この当たり前のことに毎日心を込めることができないのです。

 企業経営も毎日が真剣勝負の連続です。しかも、今の日本を取り巻く経済の「流れ」は、逆流の「流れ」となっており、何もせず手を拱いていると負の方向に流される、そんな激流の中で舵取りをしているのが、現在の経営者と言えるでしょう。

 経営者のA氏は、これまで調子の良い時は飛ぶ鳥を落とす程の力強さを発揮しますが、一度落ち込むと時には数日にわたり調子が良くなく、併せて体調を崩すという波の大きなタイプでした。

 ある日、A氏の信頼する先輩経営者から、波を失くすため、朝起きて一番に、今日一日の自分の心を決める「誓い」を立てることを教わりました。
「多くの皆様のお陰で今日も仕事ができますことを感謝致します。今日一日、どうかお客様に役立つ私でありますように…」と、A氏は教えられるままに、自身で感謝と決意の含まれた「誓い」の文章を作成。毎朝一番に声に出して「誓い」を読むセレモニーを始めました。

 しばらく経った頃、A氏は「誓い」を述べた後に心が落ち着いて来ること、やる気が高まってくることを感じるようになりました。そして、これまでのような大きな波は影を潜め、比較的よい「流れ」が毎日出来つつあるのも感じられるようになってきました。

「流れ」という存在は、他の何者でもなく自分の心が作るものです。悪く考えれば悪い結果となり、積極的な良いイメージが描ければ、よい結果が訪れます。

 プロ選手が毎日同じトレーニングを淡々とかつ元気に行なうのも、朝一番に「誓い」を述べるのも、コントロールすることが難しい心を、活気ある行動と前向きな言葉によって積極モードに切り替える意図があるのです。

よい「流れ」を作るためにも、人の役に立つ決意と感謝の思いを日々声に出すセレモニーをしてみてはいかがでしょう。

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