2008年10月3日金曜日

今週の倫理 (580号)より 人生の問題解決に倫理指導の活用を

皆さんは、抱えている苦難を倫理指導によって解決したことがあるでしょうか。

私たちの身の回りに生起する苦難(病気・災難・貧苦等)の原因は、その人の心のあり方にあるとされます。それ故に、倫理指導による問題解決は、「受ける側の心のあり方」が重視されるのです。たとえ立派な指導者に指導を受けたにせよ、受ける側がしっかりと受け止める心を持っていなければ、心の転換がはかれず問題解決には至らないということです。

例えば、心をコップにたとえます。自分の思いで心が満たされているときには、他人からの忠告は受け入れることはできないでしょう。他人の意見を100%入れようとするならば、まずは自分の思いを空にしておく必要があるのです。

Mさんは倫理の勉強を始めて間もない頃、このことに気づかずに失敗したことがありました。「そんなはずはないがなあ」との思いを持って指導者の話を聞いていたのです。純粋倫理では、純情な心を持って物事に相対していくよう教えられていますが、素直な心を持つことの難しさを感じるものです。自分の心の間違いに気づかない人でも、他人の心の間違いには気づくものなのです。他人のそぶりを見て笑っている人が、自分の間違いには気づかずにいる。滑稽なことだと思いますが、それが世の姿です。

純粋倫理と出会って五年目のMさんが、初めて倫理指導を受けたときの話です。身体を壊し、運動もできずに不健康な生活を余儀なくされていました。何とかして健康になりたいと思っているときに倫理との出会いを得て、心と身体の間には「心身相関の理」の原則が働いていると教えられました。心のあり方が身体に及ぼす影響を、知識としては吸収していたものの、これを克服することができなかったのは、実践につなげなかったからだと気づいたのです。

Mさんの話を聞いた研究員は、「あなたには責めるクセがあります」という一言を発しました。その一言が、Mさんの人生を変えることになりました。それは、Mさん自身が健康を取り戻したいがために、心を空にしてその言葉を受け止め、その不自然な心を改めることを決心したからにほかなりません。相手を責める言動は、過去に一度も口に出したことはありませんでしたが、口に出さずとも自分の身体を痛めると知ったMさんは、以後責める癖を改めたのです。

倫理の勉強を長くしていても、自分の身近なところで生起する種々の問題には、本当の原因が分からずにいるものです。「倫理指導を受ける」という基本姿勢を崩さずに生きることの大切さがここにあります。

私たちの身近なところで生起する苦難の真の意義は、「その人を苦しめるためでも、殺すためでもない。正しく生かし、ほんとうの幸福の道に立ちかえらせるためのむちであり、照明であるのです。恐るべき何物もなく、いやがらねばならぬ何物もありません」というものなのです。

縁あって学び始めた純粋倫理です。自分の心のあり方を変えることによって、病気・災難・貧苦などの苦しみを本質的に解決できる世界があることを知り、活用していきましょう。

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