2008年10月31日金曜日

今週の倫理 (584号)より 21世紀は心の時代 恩を自覚した経営を

ここ数年、企業をはじめ政治家や公務員による不祥事が続発しています。

先日も会計検査院の調査により、全国十二の道府県で総額十五億円もの不正経理が見つかったと報じられました。不正額が最も多かったのはA県で、じつに一億三千万円。同県ではこの他にも三百万円の使途不明金があったと報じられました。これは明るみに出た一例に過ぎませんが、不祥事の多くは不正をよしとせぬ職員の内部告発によるもののようです。

平素、経営者の皆さんは社員教育に心を痛めているでしょうが、教育は経営者にとって永遠のテーマとなりそうです。

茨城県水海道市の(株)染谷工務店社長の染谷正昭氏は、親孝行教育の大切さを訴えています。十年前から『経営方針書』の中に「親孝行は、自分自身が親に対して感動する心を呼び起こし、他人の心を動かし、周囲に感動を与える豊かな人間性を培い、りっぱな日本人をつくると考え、親孝行月間をもうけている」と記しています。以下はその基本姿勢です。

一、両親に対して感動することが上手くできれば他人にも感動を与え、お客様に喜んでいただける。

二、この世で、両親に対して「ありがとう」の感謝の心が芽生えてくるのは、生かされているという恩を知っ
た時からである。

三、自分がこの世に誕生して、ここまで育ててくれたことに心から感謝の思いをこめて、ハッキリとお礼の言葉が伝えられる。

毎年、親孝行月間には、社員の感想文集を発行しています。「はじめて親孝行をして」と題する社員のNさんの感想文を紹介しましょう。

「初給料で親孝行をしました。母にはお寿司を、父には焼肉をご馳走しました。両親に食事をご馳走したあと、居間のテーブルに座ってもらい、幼い頃から今まで世話をかけてきたこと、大学を卒業して会社に就職した自分のこれからの生き方について、口上を述べました。両親からは『非常に感謝しているよ。今後ともよろしくね』という言葉をもらいました。

両親に口上を述べたことにより、両親の大切さ、ありがたさを再確認するとともに、自分のこれからの生き方を間違えることなく進まなければならないとの心構えと、両親に対して少しでも誇れるような人間にならなければならないとの思いが確認できました。今後とも親孝行月間だけではなく、常に感謝の心を持ち、仕送りという物質的な感謝をしてまいります」

 染谷社長は、親孝行教育の必要性を「親子・夫婦が愛和して円満な家庭をつくることにより、素直で元気な人間性を備えた家庭人となり、また会社においては当たり前のことをキッチリとでき、お客様から喜んでいただける社員づくりにつながる」と語っています。

二十一世紀は心の時代です。倫理運動の創始者・丸山敏雄は、「恩の自覚の程度が人間の程度。最も大切な命の根元は両親であり、このことに思い至って親を尊敬し、大切にして日夜孝養をつくせば、素晴しい家庭の人になる」と教えています。

よき社員づくりのために、親孝行教育に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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