2008年9月5日金曜日

今週の倫理 (576号)より 自分が決めた通りに自分が生きていく

都道府県倫理法人会では、それぞれ会報を発行し、県内の活動ぶりや元気な企業を紹介しています。今回は千葉県の会報から抜粋したものを紹介しましょう。

その企業は二〇〇七年に「ベストバンカー賞」に輝いた千葉銀行です。同銀の竹山正氏は、平成十六年六月に頭取に就任。当時は不良債権の処理で金融関係各社が縮こまっている中、氏は逆に積極的な手を打ちました。まず支店を十月に二つ増やしたのです。また、他行は俗にいう「貸しはがし」の方向でしたが、氏は「目の前にチャンスがあるにもかかわらず、自己資本比率のためにやらないのは、将来のためにマイナスである」と、翌年十二月に五千万株の増資をしたのです。結果、自己資本比率を保ちながら、貸出を増やすことができました。

氏の経営手腕やステップアップ仕事術、風通しのよい職場づくり等は、氏の信条や生き方に一貫しているものがあります。「経営も人生も、ブレずに自分で決めた通りに生きていく」がそれです。氏は千葉県館山市の米屋の八男として生まれ、身近に千葉銀行の支店があり、毎日集金にくる行員の姿にあこがれ、大学卒後に憧れの同行に入ったのです。

氏は入行時に、皆の前で「愚痴を言わない、言い訳をしない、人の悪口を言わない。それらは絶対にしない」と宣言しました。

「この三つを口にする人には、〈常に自分は正しいのだ〉という心があります。〈景気が悪い、部下が悪いから成績が伸びない、上司が悪いから自分がダメになる〉などと言っていると、自分の成績が止まります。問題が起きた時に、〈自分に何が欠けていて、こういう結果になったのか〉を考えてこそ、ステップアップできるわけです。ところが、この三つを口にすれば、自分は正しいから努力する必要がないことになってしまう。だから、この三つは絶対にしないと決めたのです」

さらに氏は「逆に言えば、サラリーマンが口にしたがるのが、この三つなのです。私の場合は、高らかに皆の前で宣言することで、口に出せない状況をつくりました。それが自分のやりたいことを実現する秘訣です」と強調しています。

現在は、経営に大切な要素を三つ掲げて実践中とのこと。一つは「潮目、流れを見て人より早く対応し、早く決断し、人より先に行なう。そのためには自分の思うようにすぐにパッと動ける組織をつくる」です。普段は役員たちと同じ部屋で、すぐに結論を出せ、すぐ行動できるということです。

二つは「気力・体力・人間力そして、知力の充実」です。前三つはその人固有の問題ですが、知力はトップに魅力があれば借りられます。氏は朝から決裁がいっぱいあり、常に気力・体力が充実した状態で判を押すことが求められます。そのためにも生活を改め、人間力を磨くことを怠りません。

三つは「風通しをよくする」です。社員に明確なビジョンを示すためには、トップがより現場に近いところにいる必要があるとし、悪い情報も聞こえるところにいるのが自分流と語る氏です。

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