2008年8月22日金曜日

今週の倫理 (574号)より 経営者の牽引力が目標達成への鍵

企業は、個々の社員が役割を分担し、掲げた目標に全力で向かい、利益を生み出していく集団です。それには、会社の目的(企業精神・理念)を全員で共有し、互いが持つ能力を目標達成に向けて燃焼できる集団とならなければなりません。

当然、リーダーには、新しい仕事や困難な課題に真っ先に取り組んで、部下や後輩に模範を見せる行動が求められてきます。 北京オリンピックに出場を果たしたバレーボール全日本チームの取り組みから、リーダーのあり方を学んでみましょう。

バレーボール全日本監督・植田辰哉氏は、二〇〇四年の就任時より「監督以上に五輪に行きたいと思っている人間が欲しい。チームを立て直すには強烈なリーダーが必要だ」と明言し、主将に当時三五歳の荻野正二選手を指名しました。「全日本のメンバーに選んだぞ。主将はおまえしかいない。オレと心中してくれ」と伝えています。

 植田監督は決して荻野選手を「置物」のようには扱いませんでした。あくまでも数多くいる全日本の一選手。日々の練習でも手加減はしていません。一対一でボールを拾わせるワンマンレシーブでは直々に相手をし、サーブレシーブの練習でもイージーなボールは決して打たず、坂道ダッシュも若手と同じ量を求めました。

「最終予選前の合宿で、バレーをやっていて初めて吐いた。あまりにきつくてトイレに駆け込んだ」と荻野選手は語っています。そんな姿を見せられては、若手はついていかざるをえません。どんな言葉より、同選手の姿は周囲に大きな影響を与えたのです。

〈強くなりたい。オリンピックに出たい〉というモチベーションを誰より保ち続けている荻野選手を、植田監督がリーダー(主将)として指名したのは、「彼なら必ずやってくれる」と心から信じていたからです。そしてその信を受けた荻野選手は、日々のハードな練習でも明快な目標をしっかり持ち、率先垂範の取り組みで、周囲の期待に見事に応えたのです。

企業経営も、決して一人で前進することはできません。多くの力を必要とします。その中で、周囲の人々と夢や目標を共有し、心を一つにして推進していくには、情熱に燃えるリーダー(経営者)が必要なのです。
物や金を失っても取り戻すことはできますが、企業が社員、協力関係者などに見放されたなら、これは取り返しがつきません。企業経営は結局、人が中心です。人的資源を最大限に活かしていくには、自身の燃える姿を常に見せていなければなりません。

リーダーに必要な条件を挙げておきます。

①願望(夢・志)を持ち続けている。
目指す目標を決めたら、たとえ小さな一歩でもそれに近づく努力をしていく。困難に出くわしてもニッコリ受けて、「何が何でもやりぬくぞ」と、願望を達成させる気概がある。明確なビジョンは前進のための糧となります。

②率先垂範
経営者・幹部が行動を通して手本を見せる。社員に望むことを自らが実際に示してこそ、社員は奮い立つものです。
集団は、リーダーたる者の勢いの有る無しが、ダイレクトに反映されます。パワー満載の「人間機関車」として、会社をグイグイと引っ張っていきましょう。

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