2009年7月3日金曜日

今週の倫理 (619号)より 人材を人財に変える「4つの魅力」


経済指標の一つである有効求人倍率が昭和38年以降最低水準を更新しています。経営者の中には、この度の不況に喘ぎ「工場閉鎖」「派遣切り」「正社員の賃金カットや解雇」を余儀なく選択された方も少なくないでしょう。

 一方、「優秀な社員から辞めてしまう」「定着率が悪い」「社員にヤル気がない」など、従業員の問題で悩んでいる企業もあります。

 経営者は「好不況に左右されず、永続的に繁栄する企業」を目指していますが、現実はそう簡単に思い通りにはなりません。どうしたら実現するでしょうか。

 まずは経営者が自社の目的(存在意義や社会貢献)を明示し、そこに到達するための方針や方向性と目標を提示することが第一です。これらを全社員と共有できるよう浸透を図るとともに、具体的な方策を徹底的に実践する集団になるよう、常に向上し続けていると実現可能となるようです。

 しかし、これらを理解・共有して仕事に勤しむような「よい人財」に恵まれない企業は、いつまでたっても経営者の目指すような会社にはなり得ません。 どうしたら「よい人財」が得られるでしょうか。一つの方策として、給与や休暇など待遇を同業他社より格段と引き上げ、外部からよい人財を引っ張ってくるヘッドハンティングがありますが、これも定着までには繋がらないことも多く、経営そのものを圧迫することになりかねません。

 給与を多く支給しても、その人がこちらの望む働きをするとは限りません。例えば、メジャーリーガーのイチロー選手と同等の潜在能力を持った人に、イチロー選手と同じ年棒で契約すれば、果たして同じ働きが出来るでしょうか。答えはノーでしょう。本人の意思やモチベーションの高揚持続には、お金の魅力だけでは埋められない、チームカラーと呼ばれる土壌が不可欠だからです。

 人が組織に定着して能力を発揮するには、①〔仕事の魅力〕仕事の中身そのものが好き。仕事を通して成長できるなど。②〔理念の魅力〕会社の将来のヴィジョンに共感できる。社会貢献を実感できるなど。③〔人材の魅力〕社風が自分にあう。社員の気質が自分と似ているなど。④〔特権の魅力〕個人の多様性が尊重される。伝統・格式・ブランドがあり知名度が高いなどの「四つの魅力」が複合して存在する必要があります。
 経営者は、現状が苦しければ苦しいほど、自社の目的(文書化していなければ成す好機)に現状が則しているかどうかを再点検してみましょう。「四つの魅力」は、ここから生まれます。

苦しい時こそ、経営者自身が原点に立ち返り、未来の方向性と現状の具体策を見つめなおす好機と捉えることから始めるのです。

企業は人なりと謂われます。企業土壌に経営者自身の思考や言動が大きく影響する所以です。週に一度、モーニングセミナーに参加し、学習した純粋倫理(繁栄する心の生活法則)を実践して、人間的魅力を磨き高める姿勢を持ち続けることが肝要です。同時に、朝礼時に自社の目的や理念と方向性を「口で言う、耳で聞く、目で見る」を日々繰り返すと、やがて全社員の血肉に浸透していきます。

よき経営者は、よい企業土壌を生み、よい人財を育みます。こうした経営者を倫理法人会の諸活動で増やすことが、真の日本経済活性化に繋がるのです。

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