2008年1月28日月曜日

今週の倫理 (544号)より 義務と責任を意識し、日本創生に取り組もう

正月恒例の「箱根駅伝」が、今年もファンを沿道に、そしてテレビの前にクギづけにしました。これを見ないと正月が来ない、という人もいます。箱根駅伝に対するこれほどまでの人気は、一体どこにその秘密があるのでしょう。

 もっとも大きな要因は、学生たちが母校の名誉を担い、少しでも速く、少しでも前へという意識を持ち、そして受け継いだ襷(タスキ)はどんなことがあっても、次のランナーに手渡さなければならないという強い責任感を感じながら必死に走る姿に、大きな感動を覚えるからでしょう。

 駅伝ランナーたちのひたむきな姿は、今の日本人が失っている大切な心を思い出させてくれます。その心とは、ズバリ「責任感」です。すなわち、「自分は国の歴史と会社の永続、そして家の流れの中で、先人・先輩・親祖先が遺してくれたものを、より良い状態にして、子や孫にしっかり受け継いでいく重要な役目を担っている『命のリレーランナー』なのだ」という責任です。

日本人が、この「責任感」を喪失してしまった要因にはいろいろ考えられますが、何よりも大きな要因は、自分が因って立つところをまったく意識しなくなったことでしょう。自分が現在、どういう組織の中で生きているのか。その組織は、どのような歴史を持ち、その中で私たちはどのような恩恵を享受してきたのか、また現在受けているのかという自覚です。

 私たちは、地球という大自然の中で、太陽の熱と光、水や空気のおかげで生かされています。日本という組織の中で生活をさせてもらっています。さらに日本は世界の一員であり、世界という組織にも所属していることになります。最も身近な組織では、会社・家族という集団に属します。これらの組織は多くの歴史という時間を刻み、これからもその歩みを続けていくでしょう。その中で私たちは、あの駅伝ランナーたちが強く意識していたような「使命と役割」「義務と責任」を負っているのです。
ところが今日、多くの人は、それを放棄してしまっているように見受けられます。その結果、日本は今のような危機的状況になっていると言っても過言ではありません。

 それでは、日本の危機を克服し、日本を創生するために、私たちは何を為すべきでしょうか。箱根駅伝に出場した選手たちが異口同音に語るのは、「自分たちがこうして走ることができたのは、両親や合宿所のオバサンのお蔭です。そして監督の指導と控え選手たちの熱い思いがあったからです」という感謝の言葉です。

 まさに人間の気力、体力、とくに最後まで諦めない力の源泉は、自分の足元を忘れない「感恩・感謝・報恩」の心なのです。

 倫理運動の創始者は、「恩の自覚は、愛国心の根元であり、愛国心こそ、産業・交通・教育・政治、また道義の推進力でもある」と述べています。今こそ私たちは、「自分が現在生きていられるのは、いったい誰のお蔭なのか」ということを明確に自覚し、「駅伝選手の心」を持って、日本創生に取り組んでいこうではありませんか。

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