2008年11月13日木曜日

11月11日 イブニングセミナー@川崎区準倫理法人会


中央で参加者を募り、川崎区準倫理法人会のイブニングセミナーへ参加しました。

日本熊森協会会長の森山まり子様(地球倫理推進賞受賞)の講演、「クマともりとひと」です。

環境保護を考える上で、さまざまな問題がありどこから手をつけたらよいかわからないほどですが、世界中どの地域においても、そこにすむ大型動物の調査をして、良好であればそれ以下の小動物や植物などは比較的安泰であると判断できるのだそうです。

かつて私たちの祖先は標高800メートル以上は神と動物たちの領域、けして立ち入らない棲み分けラインがあったといいます。戦後の国土総合開発により国の林業は大きく様変わりし、杉やヒノキといった換金性の高い針葉樹ばかりを植樹、やがては標高800メートル以上の領域にも開発伐採を進め、動物の住む森へと侵食していきました。

一見きれいに見える植林された針葉樹の山々は中に入ると、一年中日光を通さない地面には、自然の下草や保水力の高い土などは消えうせ、動物のすめる森ではなくなってしまいました。

餌のなくなった森にいられないクマは、餌を求めて人里へ出てきます。
本来クマは、人を襲う習性など皆無で一部の食べられる虫などを除けば、99パーセントベジタリアンなのだそうです。

また、ある学者によると犬よりはるかに賢く、臆病でやさしい性格を持っているが一度人間に襲われたことを憶えてしまったクマだけが、人と遭遇してしまったときに、人を恐れるあまり自らの保身のために振り上げた前足が凶暴だというイメージがついてしまったといいます。

・・・

こうしたクマに関する調査や資料集め、保護運動にいそしむ森山先生も、特別な環境活動家だったわけではなく、ごく普通の公立中学校の理科教師をしていました。

兵庫県の中学で教鞭をとる森山先生は、ある日生徒の持ってきた作文と一枚の新聞記事を目にします。

ツキノワグマが絶滅の危機に瀕している。餌場を失い人里まで降りてくるクマを有害獣として射殺。この記事を見て何名かの中学生が立ち上がりました。

先生自身も、「人に頼らず自分で何でもやりなさい。」そう子供たちに指導していたので、中学生の行動力に驚きつつ、後戻りできなくなってしまいました。

自ら本を読み、調べて問題意識を持った中学生たちは、資料作りや署名運動に奔走します。

中学校の中に野生ツキノワグマを守る会が発足、最初はすぐに終息する子供の騒ぎ、こんな問題はきっと行政の誰かがやってくれているだろうとタカをくくっていた大人や先生たちも、すぐそこにある環境破壊の警鐘に耳を傾けない行政を知ります。環境省の出しているレッドデータブックに載っているにもかかわらず、行政には有害獣として駆除する部門しかありませんでした。

こうした矛盾に対し中学生たちは果敢に取り組み、果ては知事を動かし、各種の植樹祭では針葉樹の植林から広葉樹の植林へ変更してもらうことができました。

自然の森を復元するのは並大抵のことではありません。
でも、中学生に突き動かされ、行政に掛け合ってみて、日本には保護活動をやる人がいない。窓口もない。そのことに気がついてしまった先生はやらない訳にはいかなくなってしまったといいます。

最後にマザーテレサの、「愛は、言葉ではなく行動である」という言葉で締めくくりました。

もっと詳しくお知りになりたい方はこちらでご覧ください。

この講演を聞いてからというもの、秋で紅葉した山々をみるたび、そこだけ青々とした杉や檜の人工林が広範囲で存在することにとても違和感を覚えます。


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