2008年11月7日金曜日

今週の倫理 (585号)より 形や型を整えて場の雰囲気を作る

M氏がある研修に講師として招かれ、訪れたホテルでのこと。その地域では比較的格式のあるホテルで、「こんなホテルで研修なんてすごいな」と感心しながら、研修開始までロビーで待機していました。

程なくして研修の主催者がロビーに姿を見せ、「こちらです」と案内をしてくれます。導かれるまま主催者について行くと、ロビーの脇にある喫茶店に入っていきます。「まさか」とは思いましたが、次の瞬間「こちらでお願いします」と隅のほうにあるテーブルが研修会場であることを告げられました。

物事には「ふさわしい雰囲気」というものがあります。例えば、喜びの笑顔と激励の言葉が飛び交う結婚式と、悲しみとお悔やみの言葉が交わされる葬儀の場とでは、明らかに雰囲気が違います。

他の客の話し声が漏れ聞こえ、板書用のホワイトボードもなく、参加者が筆記するための机もない。これでは、どんなに講師の話が良くても、また参加者にやる気があっても、良い研修が出来るはずがありません。研修には研修に相応しい会場があり、その雰囲気によって研修がより良いものになるのです。

このように、その場所の形を整えて雰囲気を作り出すことを「場の空気を作る」と言い、私たちの先人は日本民族の文化として尊んできました。上手く物事を進めるためには、まず、それに相応しい場作りが重要と捉えました。

ところが現代では、「相応しい雰囲気」は成功者のみが作り出すものと捉えられ、「物事がうまくいかないから、場の空気が悪い」と、本末転倒の不足不満を並べます。生活スタイルが変わってしまった現代では、「場の空気を作る」ことは成功への秘訣とは言えなくなってしまったのでしょうか。

『夢をかなえる「そうじ力」』(総合法令出版)の著者で、そうじ力研究会の代表を務める舛田光洋氏は、「きれいな部屋には〈いい気〉がやどる」として、〝著書や講演の中で、場を整えることの重要性を述べています。氏によると「汚い場所にはマイナスの磁場ができ、更にマイナスエネルギーを引き寄せてしまう。それが全ての不調の原因」というのです。

倫理研究所の創設者丸山敏雄も「場」の重要性を次のように説いています。

その「物」を「物」としてあらしめるもの(場)を「境」と呼び、その「物」と「境」は必須不可欠の関係であって、存在大調和の相である。世の如何なる動きも、人類ことごとくの働きもこの大調和を求めて進んでいる。

『純粋倫理原論』(抜粋・要約)

 この法則から鑑みれば、「物」と「場」の必須不可欠の状態を知り、その状態を間違わないようにすれば、物事はすべて大調和(成功)の方向へ向かうということが分かります。「場の空気を作る」ことが成功の法則であることは、大自然の法則に深く根ざした、現代にも通じる法則なのです。

 まずは、会社が会社らしい「場」であるか、家庭が家庭らしい「場」であるかという、身近な所をしっかり確認して、万事好転の境遇をつかみましょう。

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