2008年11月28日金曜日

今週の倫理 (588号)より 夫婦・家族を愛し心の安定をはかる

景気の動きに敏感な職業は、タクシー運転手やスーパーの従業員だと言われます。先日乗ったタクシー運転手との雑談で、米国発の金融危機の影響が、私たちの身近にも確実に迫っていることを、痛感させられました。
街角景気の悪化は、そのまま各企業の経営危機を表わしてもいます。民間信用調査会社の帝国データバンクは、10月の倒産件数(負債総額1000万円以上)が前年同月比13・7%増の1231件となったと発表しました。これらを原因別に分けると、販売および輸出不振などによる、「不況型倒産」が全体の8割を超えたというのです。

 こうした景気の現状を、内閣府は「厳しい」から「急速に厳しさを増している」と、基調判断を下方修正しました。今年も年末を迎え、各企業にとっては資金需要期に入ります。経営体力の弱い中小企業にとっては、不安が増すばかりでしょう。そのため、つい弱気な発言や行動も多くなってくるものです。

 ある中小企業の経営者は、松下幸之助の話を引き合いに、経営者のとるべき態度を語りました。
何か非常な困難に直面したという場合、経営者が『この困難を乗り越えてやろう、乗り越えられる』と思い込むことがまず大切で、それらなしにその困難を克服することは、きわめてむずかしいと思います。具体的にいいますと、たとえば不況で仕事がない場合でも、経営者は社内を沈滞させないようにしなければならないということです。経営者には、社員みんなの注目が集まっています。そのことを、経営者は一刻も忘れず、どんな場合にも旺盛な経営意欲を失ってはいけない。
この松下の言葉を受け、「この経営意欲を失わないためには、経営者の夫婦・家族関係が、非常に大切だ」と強調したのです。

 景気の動向によって、倒産件数には差があるものの、好不況にかかわらず、倒産は常に存在するものです。その倒産原因の8割以上が、「夫婦不仲・家庭不和」であるとの調査結果もあります。中小企業の経営者に対する「最も頼れる存在は誰か」との質問には、「妻」との答えが最も多かったそうです。

 経営者は、いかなる場合においても、常に孤独な決断を求められます。それだけに、「心」を支えてくれる存在が必要で、それが「妻」であり「家族」ということなのです。経営危機に直面した時に、妻や家族の一言に勇気づけられて克服できた経営者は、少なくありません。ところが逆に、夫婦・家族の不仲が火種となり、冷静な経営判断ができず、倒産を迎えてしまった経営者も多いという事実が先述のようにあります。
 現在の経営環境は、どこから危機が襲いかかってくるか、なかなか予想できにくいところがあります。

それだけに、経営者の「心の安定」こそが、最も大切なベースとなります。そのためには、何はさておき、常に「夫婦・家族」の愛和を心がけることが、危機克服の勇気と知恵を得る常道と知りましょう。

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