2008年12月19日金曜日

今週の倫理 (591号)より 日本人の原点に返り大波を押し返そう

世界銀行は、2005年時点で開発途上国人口の四分の一にあたる十四億人が「貧困層」であるとの統計を発表しました。

 現在、地球上には、約六十七億四千万人もの人口が溢れており、貧困層は総人口の20.7パーセント。日本円に換算して、一日約140円未満で生活をしている人々という計算になります。

 我が国では、生活に困窮している国民に必要な保護を行なっています。最低限度の生活の確保を目的とした「生活保護制度」(生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助及び葬祭扶助)が充実しており、最低でも月額六万円以上の援助が約束されています。

 国によって物価の違いなどがあり、一概には言い切れませんが、世界の基準に照らし合わせてみると、我が国では誰一人として世界基準の生活困窮者はいないということになります。

 さらに、日本人は他国に比べ、非常に恵まれた環境の中で生活しているといわれます。食糧難で餓死をするケースは殆どありませんし、四季折々の食料も確保できます。また、治安も安定しており、夜中に外出しても、よほどのことがない限り事件や犯罪に巻き込まれることもありません。

 その他、飲料水は公園でも公共施設でも至るところで確保することができ、高いレベルの教育も受けることができます。医療システムも充実しており、世界でも冠たる長寿国家としても有名です。
以前、あるアメリカ人が来日した折に、日本のホームレスが街角で新聞を読んでいる姿を見て、「彼らは字が読めるのになぜ働かないのか。アメリカでは読み書きできない者がホームレスになるのに、日本はどうなっているのだ」と驚いたということです。

 幸せや豊かさの基準は人により様々ですが、世界的な生活水準から客観視すれば、私たちは戦後、長年にわたり安定した生活を保ち続けてきたことになります。しかし、そのような幸福とは裏腹に、いつしか拝金主義がはびこり、日本人が綿々と大切に守ってきた謙譲の美徳や相互扶助の精神などの心の豊かさは、どこかに置き去られてしまいました。それが今日の日本が抱える種々の弊害を巻き起こしていると指摘する人もいます。

100年に一度といわれる経済不況の大波が押し寄せている今日、私たちは改めて日本人としての生き方の原点に立ち返る必要があります。全社あげてスクラムを組み、しっかりと大地に両足を踏みしめ、大波に流されず、いやむしろ大波を押し返すだけの不動の絆を強固にしてまいりましょう。
「感謝は最高の気力」といわれます。何気ない当たり前の幸せと豊かさに喜びを見いだす一念一念の積み重ねの中にこそ、ピンチをチャンスに変える打開策はあるのです。

  運命を切り開くは己である。境遇をつくるも亦自分である。己が一切である。努力がすべてである。やれば出来る。
(『万人幸福の栞三七頁』)

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