2009年5月1日金曜日

今週の倫理 (610号)より 「愛する妻へ」感謝を形にして贈る


経営者モーニングセミナー後の朝食会で、男性数人が倫理実践の話題で盛り上がっていました。生花販売業を営むS氏が、「来月、妻の誕生日なんです。何かいいプレゼントはないですかね」と言いました。

「指輪がいい」「旅行でもしたら」などの案が出ましたが、Sさんは「何か倫理の実践に則したお祝いの仕方がないだろうか」と考えました。そんな氏に対して先輩会友が「奥さんへの感謝の想いを書き出して贈ったら」と促したのです。

「そんなこと考えもしなかったですよ、できるかな?」と尻込みする氏を、周囲は「大丈夫、できる」と励まします。最後には切りのよい数で百個、「妻へのありがとう」を記して贈ることになりました。
妻の誕生日まで四十日余り、「一日に二、三個見つければいいのだから」と軽い気持ちで決意したものの、三十個を越えると次がなかなか出てきません。瞬く間に二十日が経過すると、氏は「この程度しか妻に感謝していなかったのか」と、自分の実践の至らなさに愕然としたそうです。

「これでは誕生日まで間に合わない」と思ったSさんは、妻との出会いから現在まで、「自分が変わったこと」「嬉しいと思ったこと」を一つひとつ振り返り始めました。

結婚してからは、掃除・洗濯・食事の支度から解放されて、仕事に力を入れられるようになりました。中でも、食生活は独身時代と現在では一変しています。栄養が偏っていた食事内容が、結婚後は自家製の漬物など妻の手作りメニューが食卓に並んで、栄養バランスがよくなりました。

続けて「働きを支えてくれる」をはじめ、「いろいろな楽しみを教えてくれた」「一緒に趣味を楽しんでくれる」「自分の親や弟妹に良くしてくれる」「いつも綺麗でそばにいてくれる」等々、ささやかでも氏にとって嬉しかったことを書き出していきました。

 また、Sさんは「妻が変わったことは何だろう」と考えました。結婚に伴って、住まいが変わり、仕事が変わり、更には苗字まで…。今回の実践の過程で初めて、大きな変化を受け入れてくれていた妻への感謝を、氏は発見することができたのでした。

 結婚当初には有り難く思っていたものの、いつの間にか薄れていた感謝の念、見過ごしていた妻の心遣い―それらを細かくメモしていくと九十個を超えていました。

そして迎えた妻の誕生日、氏は「愛する妻へ、一〇〇のありがとう」と題して便箋に書き始め、感謝の想いを一〇〇項目書き上げました。九十九番目は「僕と結婚してくれてありがとう」、一〇〇番目は「(氏の苗字)(奥様の名前)として、共に生きてくれてありがとう」でした。

振り返って氏は、次のように語ります。
「形にあらわすという行為が、想いを深めることにつながるのだと学びました。今回の実践で妻に対する気持ちが深まりましたが、仕事にも好影響がありました。

花を贈ることも、感謝やお祝いの気持ちのあらわれです。その心を表現するお手伝いをさせていただくのが、生花販売を営む私の使命だとやり甲斐を再確認しました」

その後、S氏は「実践したつもり」に陥りがちな自分に注意しつつ、「心を形にあらわしてこそ本物」と心得て、日々の実践に励んでいます。

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