2007年8月15日水曜日

今週の倫理(520号)より 感謝と明朗な心が対応能力を向上させる

いま経営者の「人間力」が問われています。人間力という言葉の明確な定義はありませんが、「人の心をつかんで動かす力」というものでしょう。
この人間力は、現在の企業規模に応じて、どの経営者も持っているものです。
だからこそ、これまで順調に経営をして来れたわけです。創業から今日までの企業成長は、経営者の人間力の高まりに比例していることに気づかされます。
経営菅の人間力を高めることが、企業繁栄の基と言っても過言ではないでしょう。

逆にこの人閲力が低下すると、企業は求心力を失い、社員の動きに乱れが生じて、やがて経営危機を迎えることになります。企業の不祥事や仕事上のミスといったものは、やはり経営者の人間力と無関係ではありません。

したがって経営者は、自らの人間力を高め続けることが最も大事な仕事とも言えます。
それには明朗な心を保つよう、常に心がけておくことが肝要です。

九州地方で、食品会社を経営する二代目社長がいました。
継承してしぱらくは、父親でもある先代が築き上げた信用と勤勉な仕員のお陰で、経営環境が悪化する中にあっても。なんとか順調に経営を進めてきました。
ところが五年が過ぎた頃から、売り長げが伸ぴ悩み始め、やがて赤宇へと転落してしまったのです。
そんな時、誘われたセミナーで、講師から「表情が暗い」と言われたのです。
そこで思わず、「経営がうまくいっていませんので」と答えると、講師は「逆ですね。社長の心の暗さが経営を悪化させています」と断じました。さらに続けて、「経営が悪化する前、あなたの周囲で困った問題が発生していましたね」とズパリ指摘したのです。
社長は「会社での問題はないですが、嫁姑の問題が最悪の状態となり、まだ尾を引いています」と告げました。すると「家庭問題はそのまま会社の問題。社長の心が暗くなると、社員は職場人としての自覚に欠け、報・連・相も上の空。社長自身の人間力も低下し、これで経営がうまくいくわけがない」と厳しく叱責されました。
そして、会社が「母親と妻との板ばさみ」からの逃避の場になっていることを突かれたのです。

「母親には息子として、妻には夫として、共に感謝の態度で接する」との道を解決策として示され、さらに「両親の恩を強く自覚するとともに、奥さんには社長としての自分を支えてくれる毎日に感謝する。そうすれば、明朗な心になり、人間力が回復するだけでなく、さらにも増して会社は良い方向に向かう」と教えられました。

社長はさっそく、感謝の実践に取り組み、「板ばさみ」からも逃げずに対応しました。
その結果、あれほど罵り合っていた嫁姑は本当の母娘のようになり、夫婦は仲艮くなり、経営も徐々に上向いていきました。
明朗な心を持つ経営者は、様々な変化に際して的確に対処できるものです。
しかし、いったん暗い心になると、すぐに対応能力は低下し、危機を迎えてしまうのです。
朗らかな心は、まわりを一変させ,なごめ、育て、実らせ、成就させるもの。この朗らかさを奪うものは、怒り、憂い、悲しみ、恐れなどであることを知りましょう。

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