今回の講師は英国公認の音楽療法士、越永純子氏。1988年から東京都練馬区で音楽療法室「おとのへや」を主宰して障害を持つ子どもを対象に個人・グループセッションを行うほか、講演活動、音楽療法士の育成も行っている。訳書に『みんなで楽しく音楽を![音楽療法士からの提言]』メルセデス・パブリチェク=著/よしだじゅんこ=訳(音楽之友社)などがある。また「音のかけはしコンサート」を開催するなどピアニストとしても活動中。 普段は吉田純子の名で活動されていて、倫理法人会でお話するのは初めてとのこと。音楽療法は音楽を意図的、計画的に使用して、心身の障害の回復・機能の維持改善・生活の質の向上を図るというもの。障がい児・障がい者・高齢者・精神的な問題を抱えている人・ターミナルケアを受けている人などが対象だという。 しゃべることを介さずに、音楽を通じて人と人とが繋がり合う。ワークショップが始まり、出席者のうち十数人が円卓を囲むように一つの大きな輪になって立ち、一人一つずつハンドベルを持つ。講師の弾くギターに合わせて、アイコンタクトや身体の姿勢だけで音を伝えたい輪の一員にハンドベルの音を鳴らして送り、送られた者はその音をキャッチして、また輪の別の一員にハンドベルの音を飛ばすのだ。このアクティビティを繰り返して音を繋いでいく。ド・ファを除く音階で行ったのは、和風の音階は心や身体の癒しをもたらし安らかな気持を作り出すから。音楽療法は1回で終わりでなく、週1回又は月2回定期的に続ける。 音楽療法には様々なアプローチがされていて、A.マズローの「5段階の欲求」を想定した、自己実現欲求までの「人間主義的音楽療法」もあるとのこと。また新しい音楽療法「コミュニティ音楽療法」は、自閉症の人、認知症の人だけなど閉ざされた空間の中で治療するのでなく、そうでない人々を含んだ異質の人々と交わる共通体験を通して、マイノリティの人を社会の中に取り込み、理解されない寂しさを取り除くと同時に、差別意識のない健康な社会を目指すもの。 ハンドベルの音を鳴らすワークショップに参加して、当初はそう思いませんでしたが音を繋いでいくうちに不思議な連帯感のようなものが生じ始めたように感じました。
0 件のコメント:
コメントを投稿