2010年12月29日水曜日
12月14日MS ネットばかに気をつけよう!@横浜市中央
本日の講師は、(株)こめつつじ代表取締役の吉田昭彦氏、医学博士。1943年、神奈川県生まれ。現在、東京都港区麻布十番で介護事業をしている。介護で一番の問題は認知症で、その人の人間性が分かりにくくなる。大学に在籍時、物理専攻から生物物理専攻に移って神経と脳の問題、40年前のその時点からアルツハイマーの問題を研究していた。
3年前、バルテスという行動心理学者が「知恵力は最後まで成長するが、努力をしないと若い人でも駄目になる。選択と集中で高齢者の方が経験を活かせる」という論文を書いた。
コンピュータ・デバイドとはコンピュータを使いこなせる者と使いこなせない者との間に生じる格差のことであるが、歳をとってもコンピュータを使いこなせるか、特にインターネットを使いこなせるか、若い人に遅れないように自分自身の経験を集大成しながら存在価値を認めてもらえる人間になる必要がある。
インターネット上でいろいろ調べていたとき、今までやっていたことに集中できない現象に襲われた。認知症に罹ったかと恐れた。実際に紙に出力して読み直したら、ようやく記憶を取り戻した。
荘子は道具を使うときは道具に使われるなと言っている。タイトルの「インターネットバカに気を付けよう」は自身がインターネット上で経験したこと。脳の研究をしていたこともあり、今も介護事業をやっているので、認知の問題に再度挑戦しようと考えた。昨年10月から今年の8月まで調査した。神田の書店で「インターネットバカ~インターネットはわれわれの脳に何をしているか」の本を見つけた。
クラウドインターネット、クラウドが世界を変える。これからのインターネットではデータやソフトはコンピュータ自身で持つのでなく外部サーバーに蓄積され、これにアクセスすることでコンピュータが軽くなる。そのはしりがスマートフォン。
20世紀は電気の時代。21世紀はクラウド化する社会、機械をもっと高度に駆使して、我々の脳の代行をするインテリジェンス マシンを組み合わせていく社会、知能の社会となる。
クラウド化すると変化が加速化する。 クラウドの時代には5~10万円のコンピュータさえあれば、サーバーにアクセスすることで、すべてコントロールできるようになる。
21世紀の情報化社会は変化が極めて早い。7月にアイパッドが出たと思ったら11月にはもうスマートフォン、しかも急速に普及する。
ニコラス・カーが「インターネットバカ」の本を書いたが、彼も3年ほど前に長い文章が読めなくなるという私と同じような症状を経験した。現在は「Simple is better」アクセサリーを付け加えない考え方。インターネットは情報にアクセサリーを次々と付け加えてリンクする。そうすると注意力が散漫化する。
彼は大脳生理学の観点から、記録のメカニズムを掘り起こしていく。脳は加齢により衰えていくとされていたが、脳は絶えず造り変えられ、使わないと駄目になる。象徴的なのがリハビリ、外から強引に動かすと機能回復する。高齢者でも訓練することによって、脳が活性化して新たな機能が出てくる。
記憶には、作動記憶、短期記憶、長期記憶がある。作動記憶は非常に短時の記憶、3つか4つに絞らないと記憶にならない。人類最大の発明は言葉であり、文字だが、それまでは音声だけ。記憶に頼らなければならない。これを紙に書くことにより皆が見れるようになる。
カーが警告を出したのは熟読・熟考の重要性だ。読み・書き・そろばん(計算)は教育の基本だ。インターネットを信じるのはよいが、使い方を誤ると長い文章が書けない、その真髄は何かということが分からなくなってしまう。インターネットには気を付けようと結ばれました。
確かにインターネットや情報端末などは使いこなせないと、取り残されてコンピュータ・デバイドに陥る心配はよく指摘されることですが、逆にこれらに頼り切ることへの警鐘を鳴らされました。深く考えることの重要性を再認識しました。
広報委員長 萩野宏樹
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