2008年2月4日月曜日

今週の倫理 (545号)より 社員間の相乗効果で社内に新風を呼ぶ

「障害者の雇用の促進等に関する法律」では 、「障害者雇用率制度」が設けられており、常用労働者数が五十六人以上の一般民間の事業主は、その常用労働者数の一・八%以上の障害者を雇用しなければならないと定めています。

平成十八年六月一日現在の身体障害者、知的障害者及び精神障害者の実雇用率は、前年より〇・〇三ポイント上昇し一・五二%となりました。しかしながら、中小企業の実雇用率は低い水準にあり、特に一〇〇~二九九人規模の企業においては実雇用率が一・二七%と企業規模別で最も低いといわれています。

そうした中で、一二〇名の社員に対し一〇%以上の雇用を誇る会社があります。栃木県はが野倫理法人会に所属する「ヘイコーパック株式会社」(代表取締役・鈴木健夫氏)で、紙袋・包装紙の製造を営む会社です。
平成十一年、障害者向けの合同面接会で出会った重度の肢体障害を持つ女性の採用がきっかけでした。当時、同社には障害者用のトイレの設備等が整っていなかったため、いったんは採用を断わりました。しかし、その後数カ月にわたって同社にアプローチをするという熱意に打たれ、採用を決めたといいます。

鈴木社長は障害者雇用に踏み切って良かったと、次の四点を強調しています。
一、社内的に思いやりの心が育まれ、ギスギスしたところがなくなって穏やかな社風に変わっていった。                   
二、考えるほど大変なことではなく、リスクがあるどころか、むしろ風通しの良い会社になった。

三、仕事を教えることは大変でも、一緒に仕事をする中で、何事に対してもあきらめずに一所懸命に取り組む純粋な姿勢に学ぶ機会が数多くあった。今まで気づかなかったことを気づかせられ、健常者も人間的に成長することができた。

四、「経済性を向上させようとするならば、障害者を雇用すべし」と断言できる。障害者に対し、噛み砕いて仕事を教えていく中で、自分たちの仕事を見直し、間違いのない仕事の進め方を研究したり、ムダを省き物事を簡素化する作業を進めることにより、生産性を高めることができる。  

 日々の活力朝礼の積み重ねが功を奏して、明るい、元気のある挨拶や報告ができるようになり、欠勤者も少なくなって仕事の効率も大幅に向上しているといいます。彼らの仕事自体は遅くとも、「絶対にあきらめないぞ」という魂が社内に注入されたとき、大きな感化が社員全員を覆います。健常者は障害者から自己向上への気迫を感じ、障害者は健常者のスムーズな働きに〈自分たちも負けない〉という気概を得るのです。
同じような相乗効果は、ベテランと新人、上司と部下という関係においても日々の中で見られるでしょう。良質な刺激は社を活性化させます。縁あって同じ社内に生きる者同士、互いに磨き合い、高め合いつつ、一つの目標に向かって歩んでいきましょう。

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