2009年4月24日金曜日
今週の倫理 (609号)より すなおな心になって自分自身を伸ばす
プロ野球の打撃コーチとして、三十年間で七つの球団を渡り歩き、平成十六年に六十歳という若さでその生涯に幕を降ろしたのが高畠導宏氏です。
それぞれの選手に見合った独自の練習法を編み出し、欠点を改めるのではなく長所を見抜き伸ばしていく指導法で、コーチ時代に三十人以上のタイトルホルダーを育て上げることに成功しました。
高畠氏は、亡くなる最期の年に、高校の教員として教壇に立ちました。元々は選手の心理面の育成にと、大学の通信課程で青年心理学を学び始めたのがきっかけでした。打撃の技術論を極限まで突き詰め、選手への指導にあたっていましたが、いくら技術を習得しても、大事な場面でその力を発揮できない選手がいることから、心理面の学びを深めていったのです。
プロ野球コーチとして、また教師として、「生徒」の心をグッとつかんでいた氏が、伸びる人物の共通点を次のように述べています。
① 素直である
② 好奇心旺盛である
③ 忍耐力があり、あきらめない
④ 準備を怠らない
⑤ 几帳面である
⑥ 気配りができる
⑦ 夢を持ち、目標をたかく設定することができる
(門田隆将著『甲子園への遺言~伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯~』講談社)
中でも、氏がトップに挙げている「素直」こそが伸長の根底となるでしょう。
倫理法人会は、純粋倫理の実践によって自己革新をはかり、健全な繁栄をめざす経営者の集まりです。この純粋倫理は「いつ」「どこで」「誰が」行なっても常に正しく、皆が幸せになるための道です。
そのため、「明朗」「愛和」「喜働」の実践によって「純情(すなお)」な心になるために、日常生活の一つひとつの動作を通して自己革新をはかっています。
「純情」とは、「ふんわりとやわらかで、何のこだわりも不足もなく、澄みきった張りきった心」です。
苦難や問題、逆境、壁というものに遭遇しているとき、自分自身の心を客観的に見たならば、「すなおな心」ではなくなっていることに気づくでしょう。「重々しく硬く、こだわりがあり、不足があり、曇りきった縮みきった心」のようにです。
「すなおな心」になるためには、利己心から利他心へと移行し、私心をなくしていくことが求められます。その実践として、どんな状況下でも「これが良い」と受けきることです。そのまま受ける心を具現化した行為が
「ハイ」の返事です。
現代社会に生きる私たちは、ややもすると多くの事柄を「損得勘定」で判断しがちです。人からの頼まれごとに対しては、すなおに「ハイ!」と心から返事をし、心から受けきることが、自分自身にとっても大きな飛躍の第一歩となるのです。
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