2007年11月7日水曜日

今週の倫理 (532号)より 文化の本質を理解し日々の生活に活かす

十一月三日は文化の日です。

倫理研究所の定款に、「倫理研究所は、倫理の研究ならびに実践普及により、生活の改善、道義の昂揚、文化の発展をはかり、もって民族の繁栄と、人類の平和に資するを目的とする」とあり、信条(会員として日々心掛ける目標)の第四に「我等は、日本文化の本質を明らかにし、世界の文化を摂取して、生活の向上に努めます」と記されています。

では、日本文化の本質とは何を指すのでしょう。純粋倫理の創始者・丸山敏雄は次のように述べています。
日本神話は、世界各民族の中でも卓然とした特異性をもつ。その二つの焦点は、「太陽崇拝」と「生成の思想」(国産神話)である。これが倫理の世界に直ちに投射し、前者は親子・主従・上下を貫く「敬信の倫理」となって日本倫理の縦軸(宙)を打ちたて、後者は男女夫婦、性の絶対倫理を拡充して横にあまねく展開し、「場(宇)の哲理」を得て、「合一の倫理」を出現した。

太陽崇拝や性崇拝は、世界の古代民族すべてに共通する思想ですが、原始の姿のまま純粋に伝統され、しかも民族生活の中に溶け込んでいるのはわが国の他にないと断言しています。
先人が残したわが国固有の文化は、のちに移入された仏教文化、儒教文化やキリスト教文化を取り入れ同化し、新たな文化をつくりあげました。そしてさらに、西洋科学技術文明をも取り入れて、世界屈指の文明国家・日本を築いてきたことは周知の通りです。 

さらに「世界の国々には、まだまだ日本の文化に勝るとも劣らない優れたものがある。これらを取り入れて、なお生活の向上を図り、世界に貢献していこう」と、戦後間もない時期に丸山は提言したのです。
日本文化の本質について、とくに学ぶ機会のなかった私たちは、その心を日常生活の場に活かすことができませんでした。純粋倫理を知り、親に対するあり方や夫婦愛和の生活の大切さを学ぶようになって初めて、日本文化の本質を理解できるようになったと言えましょう。

太陽崇拝や生成の思想が、「敬信の倫理」や「合一の倫理」の根本にあるということを、あらためて私たちは見直さねばなりません。現在、私たちが個々の人生を歩めるのも、命の源である親祖先につながり、多くの人、物、自然の恵みを受けているからだという感謝の心を培うことが肝要です。

社会生活の基地である家庭において、親子・夫婦が心を一つにできなくては、もろもろの幸福は生み出されません。世の仕組みに則った生活を深めていかなければ、幸福への道を歩むことはできません。
「道は近くにあるのに、遠くに求めてしまうのが人間である」と、孟子は戒めています。遠い祖先によって育まれてきた日本文化の本質を徹底理解し、そして今度は自分たちが後世に伝えていけるよう、心して生きていきたいものです。

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