2008年10月31日金曜日

今週の倫理 (584号)より 21世紀は心の時代 恩を自覚した経営を

ここ数年、企業をはじめ政治家や公務員による不祥事が続発しています。

先日も会計検査院の調査により、全国十二の道府県で総額十五億円もの不正経理が見つかったと報じられました。不正額が最も多かったのはA県で、じつに一億三千万円。同県ではこの他にも三百万円の使途不明金があったと報じられました。これは明るみに出た一例に過ぎませんが、不祥事の多くは不正をよしとせぬ職員の内部告発によるもののようです。

平素、経営者の皆さんは社員教育に心を痛めているでしょうが、教育は経営者にとって永遠のテーマとなりそうです。

茨城県水海道市の(株)染谷工務店社長の染谷正昭氏は、親孝行教育の大切さを訴えています。十年前から『経営方針書』の中に「親孝行は、自分自身が親に対して感動する心を呼び起こし、他人の心を動かし、周囲に感動を与える豊かな人間性を培い、りっぱな日本人をつくると考え、親孝行月間をもうけている」と記しています。以下はその基本姿勢です。

一、両親に対して感動することが上手くできれば他人にも感動を与え、お客様に喜んでいただける。

二、この世で、両親に対して「ありがとう」の感謝の心が芽生えてくるのは、生かされているという恩を知っ
た時からである。

三、自分がこの世に誕生して、ここまで育ててくれたことに心から感謝の思いをこめて、ハッキリとお礼の言葉が伝えられる。

毎年、親孝行月間には、社員の感想文集を発行しています。「はじめて親孝行をして」と題する社員のNさんの感想文を紹介しましょう。

「初給料で親孝行をしました。母にはお寿司を、父には焼肉をご馳走しました。両親に食事をご馳走したあと、居間のテーブルに座ってもらい、幼い頃から今まで世話をかけてきたこと、大学を卒業して会社に就職した自分のこれからの生き方について、口上を述べました。両親からは『非常に感謝しているよ。今後ともよろしくね』という言葉をもらいました。

両親に口上を述べたことにより、両親の大切さ、ありがたさを再確認するとともに、自分のこれからの生き方を間違えることなく進まなければならないとの心構えと、両親に対して少しでも誇れるような人間にならなければならないとの思いが確認できました。今後とも親孝行月間だけではなく、常に感謝の心を持ち、仕送りという物質的な感謝をしてまいります」

 染谷社長は、親孝行教育の必要性を「親子・夫婦が愛和して円満な家庭をつくることにより、素直で元気な人間性を備えた家庭人となり、また会社においては当たり前のことをキッチリとでき、お客様から喜んでいただける社員づくりにつながる」と語っています。

二十一世紀は心の時代です。倫理運動の創始者・丸山敏雄は、「恩の自覚の程度が人間の程度。最も大切な命の根元は両親であり、このことに思い至って親を尊敬し、大切にして日夜孝養をつくせば、素晴しい家庭の人になる」と教えています。

よき社員づくりのために、親孝行教育に取り組んでみてはいかがでしょうか。

2008年10月30日木曜日

10月30日 狂言鑑賞会





本日は中央倫理法人会のメンバーである、狂言師の善竹十郎様の狂言を国立能楽堂まで見に来ました。

普段は能楽堂など立ち入る機会もありませんし、あったとしても狂言の詳しい紹介や説明をしてくれるなんてことはありませんから、今回の狂言鑑賞会は伝統芸能を身近に感じることのできるとても良い機会でした。

番組は、「伊文字」と「仁王」です。

「伊文字」

妻を娶りたいと清水の観音堂にやってきた男がお詣りをしていると、「西門に立った女を妻にしなさい」と夢の中でお告げがあった。さっそく西門にいってみると、確かに女が立っていたので住まいを訊ねると女は、「伊勢の国、伊勢寺本という里に住んでいるので恋しくお思いなら訪ねてきてください」という歌を詠みます。それを聞いた太郎冠者が途中までしか歌を覚えないうちに女は立ち去ってしまいます。そこで主従は、関所を作って通りかかる人に「い」文字のつく国と里の名を当てさせます。国の名前までは出るのですが、里の名前までなかなか出てこず、難儀します。

「仁王」

バクチで無一文になった男が友人に相談をしますと、天から仏が降ってくるという噂があるのを良いことに、その男は、ばくち打ちを仁王に仕立てて参拝客から供物を巻き上げることを思いつきます。
すると大勢の参拝客が会って、たくさんの供物に二人は大喜びします。
友人は供物を持って去りますが、味をしめたばくち打ちはもっと取りたいとその場に残ります。
そこに足の悪い男がやってきて足を直したいとワラジを捧げて、仁王に化けたバクチ打ちの身体を撫で回します。

いずれも説明を受けてからの鑑賞だったので、理解も深まり、楽しく見ることができました。

2008年10月28日火曜日

10月28日 モーニングセミナー 病気は心の赤信号


大橋慶子様の講話でした。

70代後半であるにもかかわらず、この講話の後、心臓の弁膜手術をお受けになるとのことでした。

医者の腕を信じているし、家族が気遣っていてくれるから何も怖いことはない。と言い切る大橋さん、
ぜひともまた元気な姿で中央のモーニングセミナーにお越し下さい。

2008年10月24日金曜日

今週の倫理 (583号)より 意識的な実践が企業の器を大きくする

いにしへの 道を聞きても唱へても 我が行ひにせずばかひなし

この短歌の大意は、「昔の聖賢の立派な教えや学問も、口に唱えるだけで、これを実行しなければ何の役にもたたぬ。実践実行が最も大事である」(『島津日新公いろは歌集』―竹田神社)ということです。

 まさに「実践なき倫理は倫理ではない」という言葉そのままと言えましょう。すなわち、倫理法人会で学んでいる純粋倫理は、宗教でも、主義でも、学説でもなく、実行によって正しさが証明できる生活の法則であり、実践こそがその生命だからです。

 ところで、会社の業績を産み出す基盤とも言える 「社風」の良し悪しの差は、経営者、幹部社員そして一般社員の「実践のレベル」の差そのものと言ってもよいでしょう。例えば、良い社風の要素のひとつは、「当たり前のことが当たり前にできていること」ですが、当たり前にできているだけでは並の会社でしかなく、当たり前以上のレベルで行なわれて初めて、他社との差別化が可能となるのです。
当たり前のことの中でも最も基本的な、「あいさつ」という実践を例にとってみましょう。

 K社の職場での朝のあいさつは、ただ「おはよう!」という声が飛び交うだけの儀礼的なものではありません。ふだんは、社長は六時ごろ出社してきます。事務所に入るとすぐに、「おはようー!」と事務所中に響くような大きな声を発します。すると、すでに出社していた3~4名の社員が、いっせいに「おはようございます!」と、明るく大きな声で応えます。そして、社長が席につくと、社員一人ひとりがそれぞれに、社長のデスクの前で直立し、改めて挨拶をします。またそれに対して社長も、姿勢を正し、時には自らも直立して応えるのです。こんな光景が通常では七時ごろまで見られるのです。

 上下関係を超越して、同じ目的と同じ目標に向かう者同士の真心の交流の場と言っても過言ではない姿です。すなわち、そこには命令的でも義務的でもない、社員は社長に対して尊敬と感謝の心を込め、社長も社員に対して日々の仕事への感謝や労いと激励の心を込めた、「ほんものの挨拶」の実践があるのです。

 そのゆえK社の職場には、ただ単に元気で活気溢れる、明るい雰囲気というだけではなく、快い緊張感と、組織の要である正しい上下関係も自然と確立されています。   
このように、「あいさつ」という、きわめて日常的な実践一つを見ても、ただ習慣的・行儀作法的に行なっているだけでは、その意義と効果は半減してしまいます。私たちは実践に取り組む場合にはつねに、その目的や意味合いを十分に考え、「意識的に実践する」ことが大切なのです。

「企業の器は社長の器」と言われます。それは、経営者の人柄や人格のレベルがその企業のレベルであり、社風の良し悪しもまた、経営者と社員のレベルを表しているということです。経営者は今日、経営環境が厳しい時代だからこそ、「実践のレベル向上」のために精進を重ね、社風の向上と企業体質の強化に努めていく必要があると言わなければなりません。

2008年10月22日水曜日

10月21日 モーニングセミナー ハーバード流交渉学入門

本日の講話者は横浜市議会議員片桐のり子様です。

1000円札を2枚取り出して、入札を始めます。
100円から初めていくらでこの2000円を落札するかというところまで、進めていきます。

こうしたオークションというのは最初の価格を安く設定するので参加しやすいので参加者を増やます。

このときのルールがオークションでは最終落札者は当然落札できますが、勝てなかった2番目の応札者について自らの入札額を開催者に払わなければならないというルールに設定します。

このルールで進めると、2番目の人は落札できないで支払い債務を負うよりは、落札した方が良いという心理が働き、数万円まで応札額が上がってしまうといいます。

結果、支払った金額ほどの価値を売ることのできなかった落札者と、何も売ることなく支払い債務を負った2番目の応札者、一番儲かったのはオークションの開催者であることになります。

こういった交渉ノウハウをビジネスの場で活用していくというのが交渉学であり、このゲーム理論では一番賢いのはこのゲームに参加しないのが賢い。
手をこまねいて何もしないのはつまらないという心理も働き、つい参加してしまいがちですが、不合理な執着心といった心をコントロールしていかないとビジネスの世界ではうまくいかないという教えなのだそうです。

こういった交渉学は別の言い方をすれば生きていくためのコミュニケーションスキルともいえます。

ハーバード大学では、Getting to Yes!という本があり、Yesを言わせる方法ということで、有名な交渉術がハーバード大学で確立された学問であるといわれています。

学内にはPower and Negotiationという機関や講座があり、様々な交渉の研究がなされています。

この交渉学、普段から誰でも使っていることなのですが、言語でいうところの文法のようなもので普段は何も意識しないで言語を使えるように使えるわけですが、どのように成り立っているかというところを学習することで、論理的に理解し活用するための早道ができるといったものです。

このほかにも、「囚人のジレンマ」などの学習事例を挙げて楽しく解説していただきました。

2008年10月17日金曜日

今週の倫理 (582号)より 可能性は誰にもある 輝く企業を目指そう

日本の社会は今、「大きな変化という試練」に直面しています。「景気が悪いから、業績が伸びない」と嘆いても、現状は何一つ変わりません。

「企業は人なり」といいます。今のような時こそ、経営者と幹部社員、そして一般社員が三位一体とならなければ、生き残れない時代なのです。社員一人ひとりの持っている「善さ」「可能性」を無限に引き出し、そこに働く人々のエネルギーと才能を、どこまでも活かしていくことです。
一九二〇(大正九)年、インドのカルカッタの西南百十キロにあるゴタムリという村で「オオカミ少女」が発見されました。顔かたちは人間ですが、行動はまさしくオオカミそのものなのです。日中は、暗い部屋の隅で眠ってウトウトしているか、顔を壁に向けたままほとんど身動きもせずにじっとしていますが、夜になるとあたりをうろつきまわり、夜中には三度、オオカミのように遠ぼえをあげるのです。顔かたちは人間でも、心(精神)は全くの野生動物なのです。オオカミに育てられたために、オオカミそのものとなってしまったのです。

ここで強調しておきたいことは、人間はオオカミにさえなれるということです。育て方次第によって、人間は何にでもなれる可能性を持っているという事実です。危機の時こそ大きく変われるチャンスを秘めています。経営者はまず、社内にはびこっている古い体質を打破し、社員の意識や行動を変えていくことが重要なのです。

「鏡の理法」をぜひ取り入れていきましょう。鏡に猫を映せば猫が映ります。自分を映せば自分の姿がそのまま映ります。では、自分の心はどこに映るか。それは、良いことも悪いことも、家族・社員・お客様の全ての現象は、自分(経営者)の心の中がそのまま反映し、映し出されているのです。
会社をよりよく変えたいと願うなら、まず経営者自身がより良く変わることです。まず自分自身を徹底的に変えて自己革新を図ることです。自分が変われば、それにしたがって会社も必ず変わっていきます。自分の心、姿勢、生活のあり方を改善し、本物にならなければ、ゴマカシは通用しない時代なのです。
対話の中にこそ中小零細の強みがあるといわれます。トップ自身が現場との対話を重視していくことです。従業員との対話や従業員への思いやり、また真の強い愛情が、次の日から即座に現場で活かされていきます。そして、会社が動き出していくのです。

建設資材・住宅設備機器販売のA社は、ゼロからの出発でした。設立五年目に大きな不良債権を抱え、倒産の危機を迎えましたが、社員一丸となって乗り切り、その後は新しい分野にも進出して安定経営を続けています。「一人ひとりが輝く企業」を目指し、実践一路で地域に貢献しようと意気盛んです。

社長一人で全てを担えるわけではありません。会社というものは人の集合体であり、トップ以下全社員がやる気を起こさなければ、会社はすぐに立ち行かなくなってしまいます。社員各人が現場に精通し、業界の動きを捉え、見事な決断でヤル集団として燃え抜いていきましょう。

2008年10月16日木曜日

10月16日 横浜戸塚泉栄準倫理法人会MSへの参加報告

今日は横浜戸塚泉栄準倫理法人会のMSへお邪魔しました。

講話は神奈川県保護司会連合会会長、横浜市保護司会協議会会長の石原昌信様による、「犯罪と更生保護活動」~誰かが担当すべき社会的責務~です。



検挙される犯罪者の70パーセントは初犯者、30パーセントが再犯者なのですが、事件の数で言うと60パーセントが再犯者の手によるものです。
刑務所から出てきた人たちが、また過ちを繰り返さないようにする制度。これが保護司の制度です。

給料をたくさんもらっているのでしょう?とか保護観察指導をしているにもかかわらず、対象者から逆恨みをされたりといったトラブルにも耐え、日夜努力されている保護司のみなさんのボランティア活動の一端をご紹介いただきました。

こうしたつらく厳しい保護司制度ではありますが、社会の中で誰かがやらなければならない仕事であるという信念と誇りを持ち、立ち直っていく姿を見守る石原さんには頭が下がる思いでした。

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こちらのMS会場でも貴重な時間を割いていただき、イブニングセミナーのご紹介をさせていただきました。
ありがとうございました。
近藤会長様をはじめとする戸塚泉栄準倫理法人会のみなさまにはこの場を借りて御礼申し上げます。

広報委員長 後藤長重

2008年10月14日火曜日

10月14日 モーニングセミナー 「今、この一瞬を生きる」



本日のMS講話者は新宿などで成功を収めているカレーハウス、ターリー屋の吉川和江様です。


20才で結婚、2児の母、そして離婚。どうしたらいいかわからなかった。
息子に「ため息だけはつかないで。僕がきっと幸せにしてあげるから。」と。

昭和38年8月に倫理研究所の世田谷区実践部に入会。指導を受ける。

「夫の実家の墓参りをしてきなさい」といわれ、新潟柏崎へ墓参りをし、清掃をして、お詫びから人生を始めた。

仕事も何も当てがなく・・・縁あって愛育病院の院長、内藤先生の秘書として雇っていただいた。
この内藤先生は日本でただ一人、シュバイツァー賞を取った先生。小児科の神様といわれた人。

この先生の、子供に接するときの目と目を見て真剣に向き合って約束する先生の姿は今も忘れられない。
そのすばらしい先生のもとで31年間働いた。

この頃倫理で学んだ今日一日、先のことは考えず、過去のことを悔やまないで今日一日だけを思って生きてきた。と吉川さんは言います。

家庭では、息子さんがお嫁さんをもらって同居するときに、こういいました。

「お母さん、僕と嫁さんの言うことには、「そうね。」とうなずいてください。僕もお母さんのいうことは、「そうだね」と返すようにするから。」

こうして同居生活が始まりました。

何か異論があるときでも、まずは「そうね。」というのが約束です。

息子が独立開業して「カレー屋」をやりたいと言い出したときも、「そうね。」といって応援することにしました。

今や新宿近辺に5店舗お店を出している。

その息子が今度はフランチャイズをやりたい。といいだした。
そこでも「そうね。」と言って、応援した。一緒になってFCに加盟してくれる人を探した。
ところが、結局FCに加盟する人は一人としていなかった。

しばらく手伝って、他の人の意見も聞いて、これは辞めた方がよさそうだと思いだした頃、息子に「FCは辞めた方がいいんじゃないの?」と進言、ここで息子は約束を守って、「そうだね。」と、きっぱりFCはあきらめた。

やろうと思う気持ちは大切。でもだめだと思ったら、引くことも大切。

即行即止。

問題も起きたときにすぐ駆けつけて解決する。
こうした習慣づけが息子さんたちにも反映されているようです。

そして、吉川様が念頭に置かれているのは、MSの最後に唱和する、「今日一日、朗らかに、安らかに、喜んで、進んで働きます」の標語。

倫理を学び、明るく何でもすぐに実行する。その心構えが大切。

もし、それでも自分の目標にたどり着いていないとしても、夢は実現しつつある。と進行形をつかって一日、一分たりとも曇らせないポジティブな行動が夢を実現させるのだと締めくくりました。

文:小倉事務長

2008年10月12日日曜日

10月12日 磯子区倫理法人会MSへの参加報告



磯子区倫理法人会モーニングセミナーに参加、今日のMSはビデオによる講話でした。

お遍路グッズで大躍進をされた(株)マツオカの松岡 賢社長の講話です。

四国霊場八十八箇所巡りで使う納経帳は、これまで紙の裏側に墨がにじんでしまい、使いにくいものだった点に着目した松岡社長は紙を一枚挟むことでにじみを防止し、お寺の絵柄をいれることで差別化を図るなどしてこだわりのある商品に仕上げた結果、(株)マツオカの主力商品になったといいます。

その後順調に売り上げを伸ばし、白衣、杖、数珠などお遍路グッズを次々と取りそろえ、順風満帆に見えた経営でしたが、中国製品や安価に納入する業者の出現、売上金の横領などさまざまなトラブルに見舞われました。

一時は、こういった現象をネガティブにとらえてしまいましたが、倫理法人会の仲間からこういわれました。

「お客様が離れることは自社の努力が足りないからだ。世の中の大木流れには逆らえない。買っていただけないのは商品力が足りないのだし、横領をされるのは会社の集金システムが悪いからだ。つまりは必要だから起きた現象だよ。」

こう諭された松岡社長は買ってくれるモノの開発、集金システムの改修に乗り出します。

松岡社長は「物事を解決するためにトラブルは起こる。倫理を学んで、こうした心の持ち方を学べた。」と締めくくりました。

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磯子区倫理法人会のMSはアットホームな雰囲気で会長挨拶もユーモアたっぷり。
和らいだMSに参加させていただきました。

イブニングセミナー「黄文雄氏 特別講演」の宣伝もさせていただきありがとうございました。
この場を借りて御礼申し上げます。

広報委員長 後藤長重

2008年10月10日金曜日

今週の倫理 (581号)より 身を粉にして働き 限界までやり抜こう

山陰のとある街に一軒の八百屋がありました。商店街の店主が集まると、その八百屋の店主のことで話が盛り上がりました。

 それというのも、八百屋の店主の働きぶりが「すさまじい」の一言なのです。とにかく並ではない、目覚めたら朝何時であろうと店を開ける、時には三時であったり四時であったり、周囲は夜の闇に包まれ人ひとりいないというのに、この八百屋だけは煌々と明かりが灯っているのです。朝早いので閉店は早いかというと、夜は十一時過ぎまで営業しています。しかも土日祝日いっさい関係なく、三六五日やっています。

 八百屋のすさまじい働きぶりを目の当たりにしている商店街のおかみさんたちは、嫌味たっぷりに亭主の尻を叩きます。

「亭主に八百屋の店主の爪の垢でも煎じさせて飲ませれば、少しはましになるだろう。休みになると接待ゴルフとか視察旅行とか遊びほうけて仕事そっちのけだから…」

こんな嫌味を言われ続けている店主たちは、時おり会合に顔を出す八百屋をつかまえて、「お前、そんなに仕事仕事と、休みなく働いているが、何がいったい楽しいんだ。一度しかない人生だったらもっと楽しまなければいけないよ」と言ったり、「そんなにこんをつめて働くと、体を壊すぞ」と忠告したり、「そんなに金貯めて何に使うんだ。食べられるだけあればいいではないか」と呆れたりです。また「お前のおかげで俺たちがどれだけ迷惑しているか、わかっているのか。もう少し周りに気を配れ」と、酒の席などではしつこくからむ者が出る始末です。

 いつの頃からか、商店街の中では「あの八百屋は頭がおかしいんだ」ということになってしまいました。ある日、いつものように酒に酔った洋品屋の店主が「おい、頭のおかしな奴」と言ったときのことです。普段は一言も反論しない八百屋が、からんだ相手の顔をキッと見据えて「みんなは俺をつかまえて頭がおかしいというが、俺の働きなど中途半端だ。隣の街にはもっと狂った奴がいるぞ」と言ったのです。その一言でその場は凍りつき、皆の頭に隣町の肉屋の顔が浮かびました。

 その後、八百屋を揶揄していた人たちは、大型店の進出とともに転業廃業に追い込まれました。八百屋はその働きぶりが認められ、今は異業種にも手を伸ばして地域一番店として頑張っています。

 今という時代は厳しく、経営の舵取りが難しい時代ではあります。何でもありの日々で、まさかの連続でもあります。売り上げはジリジリと落ち込み、その原因を他人や社会のせいにしたがる気持ちはわからないでもありません。しかし、それでは何の解決にもならないでしょう。お客様はどの店が本物で、どの店がそうではないということを鋭く見分けます。お客様に支持されるお店でなければ生き残れないのです。

 お客様のために、身を粉にして働いて働いて働き抜いている店であれば、必ずや繁栄店になれるはずです。人は人の集まるところに集まるもの。まずトップ自らが喜びの働きに徹し抜くこと。間違っても怠け心を出すことなく、周囲に「おかしな奴」と言われるぐらいまでやり抜きましょう。

2008年10月7日火曜日

10月7日 モーニングセミナー 会員スピーチ

第308回MSは誠商工(株)代表取締役 加山利明様と横浜管財(株)後藤長重様の会員スピーチです。

加山社長は会社を興して43年間、山あり谷あり。若い頃は、夜型人間でゴルフやカラオケなど遊び回っていたツケが、不渡り手形という形で跳ね返ってきたと言います。

莫大な借金を抱え奔走するうち、車を運転していても車道と歩道の区別もつかないほど精神がまいってしまい、ノイローゼと診断。半年ほど神経科に通う毎日でした。

その後落ち着きを取り戻し、借金も何とか完済して今は朝型人間、堅実で平穏な日々を過ごしているといいます。

「今となっては苦難は自分のためにあったのだろうと思える。」そう語る加山社長の内面に触れたようでした。


後藤社長は倫理法人会への入会のいきさつを話しました。

一度はドロップアウトしたこと。

前嶋相談役にばったりとあって、倫理の普及をおこなっているところを見て、再入会を決意、現在では横浜市中央倫理法人会のHPを管理するに至っていることを話しました。

普段、MSで会っていても細かい話をする機会がとれないので、会員スピーチも増やしていきたいと思っています。

横浜市中央倫理法人会 専任幹事 鵜飼稔

2008年10月3日金曜日

今週の倫理 (580号)より 人生の問題解決に倫理指導の活用を

皆さんは、抱えている苦難を倫理指導によって解決したことがあるでしょうか。

私たちの身の回りに生起する苦難(病気・災難・貧苦等)の原因は、その人の心のあり方にあるとされます。それ故に、倫理指導による問題解決は、「受ける側の心のあり方」が重視されるのです。たとえ立派な指導者に指導を受けたにせよ、受ける側がしっかりと受け止める心を持っていなければ、心の転換がはかれず問題解決には至らないということです。

例えば、心をコップにたとえます。自分の思いで心が満たされているときには、他人からの忠告は受け入れることはできないでしょう。他人の意見を100%入れようとするならば、まずは自分の思いを空にしておく必要があるのです。

Mさんは倫理の勉強を始めて間もない頃、このことに気づかずに失敗したことがありました。「そんなはずはないがなあ」との思いを持って指導者の話を聞いていたのです。純粋倫理では、純情な心を持って物事に相対していくよう教えられていますが、素直な心を持つことの難しさを感じるものです。自分の心の間違いに気づかない人でも、他人の心の間違いには気づくものなのです。他人のそぶりを見て笑っている人が、自分の間違いには気づかずにいる。滑稽なことだと思いますが、それが世の姿です。

純粋倫理と出会って五年目のMさんが、初めて倫理指導を受けたときの話です。身体を壊し、運動もできずに不健康な生活を余儀なくされていました。何とかして健康になりたいと思っているときに倫理との出会いを得て、心と身体の間には「心身相関の理」の原則が働いていると教えられました。心のあり方が身体に及ぼす影響を、知識としては吸収していたものの、これを克服することができなかったのは、実践につなげなかったからだと気づいたのです。

Mさんの話を聞いた研究員は、「あなたには責めるクセがあります」という一言を発しました。その一言が、Mさんの人生を変えることになりました。それは、Mさん自身が健康を取り戻したいがために、心を空にしてその言葉を受け止め、その不自然な心を改めることを決心したからにほかなりません。相手を責める言動は、過去に一度も口に出したことはありませんでしたが、口に出さずとも自分の身体を痛めると知ったMさんは、以後責める癖を改めたのです。

倫理の勉強を長くしていても、自分の身近なところで生起する種々の問題には、本当の原因が分からずにいるものです。「倫理指導を受ける」という基本姿勢を崩さずに生きることの大切さがここにあります。

私たちの身近なところで生起する苦難の真の意義は、「その人を苦しめるためでも、殺すためでもない。正しく生かし、ほんとうの幸福の道に立ちかえらせるためのむちであり、照明であるのです。恐るべき何物もなく、いやがらねばならぬ何物もありません」というものなのです。

縁あって学び始めた純粋倫理です。自分の心のあり方を変えることによって、病気・災難・貧苦などの苦しみを本質的に解決できる世界があることを知り、活用していきましょう。