2009年2月27日金曜日

今週の倫理 (601号)より 不況は成長のチャンス逃げずに立ち向かおう


日本は今、欧米の金融危機による輸出急減が原因で、ひどい「経済危機」に陥っています。株価は下落し、中小企業においては、資金繰りに行き詰まる状態にあります。当然、経営に不安を覚える経営者も、少なくはないでしょう。

 しかし、いかに未曾有の経済危機とはいえ、すべての企業が倒産するというものではありません。もともと経済は生き物であり、好・不況を繰り返すものなのです。そこで忘れてならないのが、今ある企業はどこも、様々な危機を乗り越えてきた過去があるということです。経営とは変化対応業とも言われます。社長を中心に、幹部社員から一般社員に至るまで一丸となって、これまでの経営環境の変化に対応してきたからこそ、今日があるわけです。

 企業の危機は、経営環境の変化といった外圧によって生じるというより、内部のまとまりに欠けた結果、変化に対応できなくなって起こると言われます。それだけに、経営者の誰もが、組織に緩みが出ないように気をつかっているものです。

しかしそれでも、経営が順調に伸びていたり、あるいは好況時には、社員の働く意識は緩慢になりがちになるようです。社長がこれを引き締めようと、いくら激をとばしても、なかなか思うようにはならないというのが実情です。

 これが不況時になると、社員にも危機感が出てきて、不況克服のために、自らの働きに真剣に取り組むようになってくるものです。このときこそが、「課題を発見し、自分の能力を最大限に発揮してそれを解決し、しかも自分の目標を自発的に達成しようとする社員」を育てることができるのです。
 ある地方で製造業を営むM社長は、昨今の世界同時不況や円高、台頭する中国の影響などに翻弄されて、業況は厳しい状態に陥っていました。

そのような時に誘われたセミナーで、「社長が一人で悩まないで、全社員に実情を伝え、会社の存在意義とは何かを考えさせることが大切だ。そしてそれを達成するためには、組織のあり方から製造機械の設置の仕方に至るまで、話し合わせること」と学んだのでした。

M社長はさっそく、社員の全員を召集して、話し合いに取りかかったのです。この話し合いは、社長も一般社員も同じ立場で進めました。仕事が少ない分、話し合いの時間が多くなっていきました。
話し合いを始めて二カ月が過ぎたころ、社員の表情はすっかり変わっていたと言います。これに比例するかのように、社風が変わり、注文も予想外のところから、持ち込まれるようになったのです。

「不況をこわがってはいけない。不況から逃げてはいけない。むしろこれに立ち向かい、社内のゆるみを引き締め、改善すべき点を徹底的に改善していくことが大事だ。不況のときこそ、身にしみてほんとうの勉強ができるいい機会だということである」(『松翁論語』)

 また「苦難は幸福の門」との教えもあります。今回の不況に、経営者としての在り方を学び、社員とともに次の繁栄のステージに踏み込んでいきましょう。

2009年2月23日月曜日

2月23日 モーニングセミナー 会員スピーチ



本日のモーニングセミナーは月例の会員スピーチです。

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Office-HAPsの眞喜屋実行さん

本日は会員スピーチということで、昨年の5月に独立したばかりで、経営者一年生の今だからこそ感じるところ、経営者になって変わったことを5つ挙げてお話してみたいと思います。

●時間の使い方

サラリーマン時代から長時間労働、休みなしが当たり前でしたが、
家族を持つようになって独立を機に生活を変えました。

今は朝型に変え、5時に起床、5時半には自宅を出ます。
終業は18時までできっぱりと仕事を終えて、22時には寝るようにしています。

日曜は休むことにし、だらだらと残業もやらなくなりました。

これまで終わりのない仕事をつづけていたのが、終わりを決めたら
仕事のスピードが上がったように思います。

●お酒

沖縄出身の私は毎日お酒の飲むのが大好きで、ともかく飲むことが美徳、
誰よりも早く飲むことに喜びを感じている毎日でした。

そんな毎日を過ごしているときは、お酒が次の日に残っていることも多かった
のですが、今では外で飲むのが月に2,3回程度と大幅に減らしました。

お酒に酔っている時間を減らしたところ、考える時間もとれるようになり、
日々がとても有意義になったと思います。

●勉強の量と意識

前職がお店のコンサルティングを行っていた関係で、訪問先では私のことを
先生、先生と呼ぶことも多く、その声に私はついつい調子に乗っていました。

独立した現在では自分の無知さに気がつきました。「もっと勉強をしなければ
ならない。」と思うようになり、読書量も増え、学んだことを実践するように
なりました。

●お金に関する感覚

サラリーマン時代は毎月給与がもらえたのが当たり前でした。
本来、成果を出してもらうはずが、成果を出さなくてももらえたわけですが、
ひとたび経営者となると、自分で稼がなければならなくなり、お客さんから
支持を得てお金をいただくまでは大変な苦労があることがわかってきました。

私も何かを買う際に自らが支払うときのことを考えると、私にとってのプラスの
有無が気になるようになり、同じに思えるようになった。

●利他

利己主義に陥らず、相手の利益を中心に考えたい。
勤めていたときには、自分のためだけに動いていました。
今はお客さんににプラスになれることを提供し、プラスになった部分の一部
をいただけるような仕事をしたい。

一年前を振り返ると、今日お話ししたことも考えることはできなかった。

一歩一歩進んで、常に成長していきたいとお話しいただきました。

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有限会社ビイワイジイ 壷井いつ男さん。


ふるさと、信州の話。海抜500メートルの高山村で生まれました。
現在は温暖化で標高の高いところのほうがおいしい果物がとれる。といいます。

今はこの不況時ではありますが仕事のことばかりではなく、環境のこと、
高齢化社会にむけて、各種勉強会や地域を含めた活動をされているとのことでした。

2009年2月20日金曜日

今週の倫理 (600号)より 会社は誰のもの?喜働への基盤づくりを


「会社は誰のためにある?」

この命題に明確に答えているのが、『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)の著者・坂本光司氏(法政大学大学院政策創造研究科教授)です。

氏は長期好業績企業や、世のため人のためになる経営に懸命に取り組んでいる企業を訪問調査しており、その数は六千社を超えるといいます。

そうした企業を訪問して実感した共通点が、著書の中で述べられています。
会社経営とは「5人に対する使命と責任」を果たすための活動。

一、 社員とその家族の幸せ
二、 外注先・下請企業の社員の幸せ
三、 顧客の幸せ
四、 地域社会の幸せとその活性化
五、 自然に生まれる株主の幸せ

私が社員を一番目にあげる理由は、お客様を感動させるような商品を創ったり、サービスを提供したりしなければいけない当の社員が、自分の所属する会社に対する不平や不満・不信の気持ちに満ち満ちているようでは、ニコニコ顔でサービスを提供することなどできるわけがないからです。

 栃木県にある旭自動車株式会社も、社員第一を旨に、日々努力している企業です。業種は大型トラック・バス等の自動車修理業で、従業員数は四十二名です。

社内には「世界一おいしい」社員食堂があります。有機米・EMコシヒカリと手づくり味噌、そして生体エネルギーを応用した水と電気を使って食事が作られています。激しい労働のあとの昼食は、社員にとって心も体も温まるホットなひとときとなっているようです。

厚生労働省から快適職場の認定を受けた「手造り会議室」(社員の手造り)で早朝行なう「誕生会」も心温まる時間です。朝七時三十分から毎日勉強会を行なっていますが、誕生会の日は、誕生月の社員が「両親への感謝」の実践報告をし、最後に社長より誕生プレゼントが手渡されます。参加者全員の拍手の中、対象者一人ひとりと「おめでとう」「ありがとうございます」と握手が交わされます。個々の社員を大切にする社長の思いやりの心がそこに見られます。

『万人幸福の栞』には「喜働」の精神、つまり仕事にやり甲斐を持ち、喜んで働くことの大切さが説かれています。もちろん「心の持ちよう」も大切ですが、「喜働」に向けた基盤づくりも必要です。経営者が社員を大切にする気持ちが、社員の喜働モチベーションの高揚に繋がり、そのような社員だからこそ、お客様に喜んでいただけるような働きや応対ができるのです。

会社は経営者や株主のものではありません。その大小にかかわらず、従業員や家族、顧客や地域社会など、その企業に直接かかわるすべての人々のものなのです。(同前)

もちろん、社員の一番の幸福は、所属する企業の業績が安定・上昇することです。厳しい環境にある今、「使命と責任」を果たすべく、経営に精励していきましょう。

2009年2月19日木曜日

2月18日 経営者の集い@市川市南倫理法人会



本日は横浜市中央倫理法人会の上村会長が法人レクチャラーとして市川市南倫理法人会の
「経営者の集い」で講話をさせていただきました。

まずは市川市南倫理法人会の山田会長による会長あいさつです。

昨年のリーマンショックから始まった急激な経済状況の悪化は、まさにアメリカがくしゃみをして
日本が風邪を引く状態になっている。しかしながら私たちはこうした風邪のウイルスくらいでやられていてはいけません。

ウイルスといえば私たちの業界(鶏卵の生産加工業)にも昨年には大きな脅威、ご存じの通り鳥インフルエンザの風評被害です。この問題がおきてからというもの商品より原料の方が高いという逆ざや現象が6ヶ月ほど続き、こうした波を企業努力で押さえ込もうと思ったがどうにもならなくて、今まで体験したことのないほどの大きな赤字を抱え、途方に暮れました。

しかしながら、今こそ倫理で学んだ「やれば、できる。」を信じ、社内のコスト削減、販路の見直し、商品構成の見直しなどあらゆる手を打ちました。わかりやすいところでは大きな社長車もやめ、軽トラでどこにでも走っていくようにしました。するとこれが一番経済的であることにも気がつきました。(笑

何とかもがいているうちに、ふと気がつくと鳥インフルエンザの風評被害も収まり、社内全体を見直したおかげで以前より売り上げが増加しました。

こうした予期せぬ大きな波には一企業、一商店ではどうにもならない部分もたくさんありますが、
みなさんも学んだ倫理をひとつでも信じてがんばってみると、何とかなると思います。

今日は、わざわざ横浜から会長をお招きしての講演です。ぜひともまたひとつ倫理を学んで行ってください。

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横浜市中央倫理法人会から参りました上村です。
本日はお招きありがとうございます。

私たちの横浜市中央倫理法人会も普及には手こずっていますが、市川南倫理法人会の山田会長様のお話を伺い、この市川市南倫理法人会がこの会長の努力の下に発展され、目標の105社を達成した暁には、ぜひご指導をいただきたいと思います。

さて、私のいる中央の紹介を少しだけさせてください。
他の単会をいろいろと見てくると、私たちの中央は初代会長の酒井相談役を中心にみんなまじめで
穏和、まとまった感のある会になっていると思います。

私は初代会長、2代目会長ともに無遅刻無欠席の会長の下、本音で話せる仲間作りを目指して
2年目を奮闘しています。

神奈川県の他の単会からの評価は、「まじめすぎる。堅すぎる」と言われているようですが。。。
私も倫理を楽しく学んで行きたいとは思うのですが、学ぶという姿勢は大切だと思いますし、
みんなで決めた決まりごとはきっちりやりたいと思っていて、これが中央は堅いと言われて
しまうゆえんなのかもしれません。

最近では各種の勉強会やレクリエーション、オリジナルブログなど独自の活動も行っていて
一本芯の通った特徴のある会、一番良い会だと思っています。
そうはいってももっと仲間を増やすためには倫理の仲間がどうしたらもっと楽しく
参加できるようになるか?今年はこの点を考えていきたいと思っています。

しかしながら、経済の悪化も手伝って倫理の普及はなかなか進みませんね。

先日当会に中西本部長がお越しになり、普及に関するお話を伺ったとき、「辞めたい人は辞めてよい。入りたくなった人をお誘いすればよいのだ。」というお話をいただいた時には少し気が楽になりました。(苦笑


私が倫理法人会へ入会したきっかけは中田横浜市長(元倫理法人会会員)の応援をしているころのことです。
入会してから、まずモーニングセミナーで「万人幸福の栞」を輪読することにびっくりしました。
私は自分の声に自信がなくて、順番に声を出していくことにはずいぶんと抵抗もありました。
ですから最初は、「はい!」のかけ声を出して、輪読の輪に入ることがなかなかできませんでした。

全員が声を出していないことに気がついた当時の役員さんがある時から、全員に1回ずつは声を出してもらおうと言うことになり、私も声を出して読むようになりました。

声を出して読んでみると、案外なんでもないことでしたし、声を出して読むと、より理解が深まる気がします。そう思い始めてからは積極的に声を出して読めるようになりました。
やってみればなんと言うことはないのですが、なかなか実践をするということは難しいものです。(笑

古代ギリシャの哲学者ディオゲネスの言葉で「習慣は第二の天性なり。」※という言葉があります。
実践の習慣は本当によい習慣ではないでしょうか。

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私の職業は花屋です。以前は小売りもやっていましたが、今はブライダルのお花を専門に
デザインし、お納めしています。

会社の経営理念は、「花を通じて人としてのあり方をみつめ、人や物に対する感謝の心を養い、真に正しい利益を追求しつつ、社会に還元できる花屋であること」としています。

花屋ですから、少しだけお花のこともお話しします。

みなさんはご自宅にお花を飾る習慣がありますか?

ご自宅に花を飾る、一輪だけおくなら玄関よりもトイレをお勧めします。
トイレの中はお花と話ができる空間です。玄関ではあわただしくてお花と話をする
時間がとれないでしょう?


自宅の花がすぐに枯れてしまうと悲しい思いになりますから、少しでも長持ちさせたい。
そのときは、糖分や少しだけ洗剤を水に混ぜて入れてください。

それとお花屋さんに「今日入ってきた花はどれ?」と訊くのもよいと思います。
自分の好きな花を買うこともよいですが、鮮度のよい、自分ではなかなか選ばないけれど
面白い花と出会えるかもしれません。

ぜひ一度試してみてください。

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最後に、私の好きな言葉をお話しします。
「日新公いろは歌」のなかの有名な句にこういうのがあります。

「いにしへの道を聞きても唱へても わが行にせずばかひなし」

これは倫理でも教えている、お話だけじゃなくて実践をすることが一番だよ。という教えです。
山田会長もお話ししていました、「やれば、できる。」これに限りますね。

なかなか早起きの実践はできないですが、横浜にお立ち寄りの際は是非とも当会にも
足を運んでください。

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懇親会も和やかに行われました。
市川市南倫理法人会のみなさま、本当にありがとうございました。

お世話になった方へのリンクを貼っておきます。

山田茂様
勝亦竜大様
谷田部浩之様

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※「習慣は人の性行に深くしみこんで、生まれながらの性質のようになる。
習慣が人の性行に影響することの大きいことをいう」
(広辞苑)

2009年2月17日火曜日

2月17日 モーニングセミナー 「常に青年の心意気で」


倫理研究所普及本部本部長中西浩様、の講話、内容は「常に青年の心意気で」です。

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年齢の数え方には3つあります。
今日はこの3つをご紹介したいと思います。

一つ目として「生活年齢」というものがあります。
この数え方は一年たつごとに刻んでいくごまかしようのない年齢のことです。

二つ目は「生理的年齢」というものがあります。

「年の割に若い」「あの人は老けて見える」といわれる年齢のことを差すようです。
この生理的年齢は各自の魅力を高めるための努力により保たれています。

そして最後に一番肝心なのは、「心理的年齢」です。
この年齢は心が司っていて人によって大きく違うところでしょう。

一般に人は高齢化してくると、がんばりが足りなくなる。
いつかがんばってお返ししようという気持ちになれず、すぐに簡単な方法で
返さなきゃと手近でいい加減な義理堅さへと変わっていく。
また、我慢も足りなくなってきて「もう年だから。。」とあきらめる気持ち
が支配してくるようです。

こうした気持ちが活動を限定し、どんどんと無精になっていくようです。
また、人は年を取ると理性をコントロールできなくなってきます。
本能だけで動くようになってきて、それが行動規範になる。

普段は本能を理性が抑えていますがこれも年齢とともに効かなくなってきます。
清廉潔白だった人の晩年はどうでしょう?
どんどんと本能(わがまま)が出てくる人が増えています。

ですから、倫理の実践によって、本能そのものを変えて、「心理的年齢」
をいつまでも若々しく保っていきましょう。

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これまでの実績や過去にとらわれていても一秒たりとも戻りはしません。
過去の中からしか考えられない人は、心が老化している証拠です。

青年とは実年齢や見た目とは関係なく、過去に縛られることがない心を持つことです。
言い換えれば今日から明日に向けて生きていこうという姿勢、これが青年の心意気を
持つということ。

こうした取り組みこそが高齢化社会に最も大切な心構えだとおもいます。

2009年2月13日金曜日

今週の倫理 (599号)より 変革の絶好機 待ってました不況!


大手企業の派遣社員が大量にカットされ、各企業の業績予測も下方修正一辺倒の報道が連日なされ、「百年に一度の大不況」というフレーズまでもが喧伝される昨今ですが、この経営環境の厳しさをどう捉えるかは、経営者によって様々のようです。

ある社長は経営を「凧揚げ」に譬えます。
「風がビュービューと吹いて、凧の紐を握ってさえいれば、凧が大空にグングンと昇っていった、バブルの頃とは打って変わり、今は全くの無風状態。この時期、凧を揚げるためには、凧の紐をしっかりと握り、社長を先頭に全社一丸となって前に向かって、まっしぐらに突っ走り、自ら風を起こす以外に道はない。しかもその際には、バブル時には見向きもせず、或いは気がつかなかった自社に潜む改善点を、たくさん見つけることが出来、そこに手を打つのにも絶好の機会です。待ってました不況ですよ!」

また、「企業は創業と同時に〔倒産エネルギー〕を宿命的に内包し、これと対極にある〔成長エネルギー〕が、それを上回ることにより、企業の維持・発展へと向かう」と指摘する人もいます。

そもそも企業というものは、創業時は物質的、資金的にも潤沢ではなく、創業者の熱意・誠意・創意だけで幾多の困難な状況を潜り抜けて、現在に至っているものです。植物になぞらえて考えると、人為的につくられた鉢植えの植物と同様に、企業も日頃から、丹精込めて手をかけて注意深く育てていかなければ、環境の変化に対応できず、いずれ存続できなくなってしまいます。それを阻止するには、あたかもこまめに肥料や水をやったりして育てた後に、鉢植えの植え替えを行なうように、企業にとっても日頃の「改革」が不可欠となります。

よって、この経営環境が厳しい時期こそ、堅持すべき軸(創業の精神等)と、変革すべき事柄(手段・方法等)をしっかりと見極めながら、それをトップが率先して取り組む中で、活路が見いだされるものです。
松下幸之助氏は「3パーセントの経費節減は往々にして頓挫しがちだが、三割の経費節減は意外と成功する」ということを述べています。常識とは逆とも思えるこの発言の意味するところは、3パーセントのコストダウンをしようとすれば、現在の延長線上での発想しか生まれず、三割のコストダウンを目指すことで、発想の大転換を余儀なくされ、すべてを根底から見直して様々な改革が可能となるというものです。
倫理研究所の創設者丸山敏雄は、「純粋倫理」に則った生活を、一言で「捨てる生活」と表しています。これは経営者が日頃その判断・決断を行なう時に、「固定観念」や「執着心」、そして「自己中心の我欲」などを捨てることが大切、という教えです。

現在のような厳しい時期だからこそ、経営者は企業における改善・改革はもとより、知らずしらず身に染み付いた精神的な贅肉を削ぎ落とし、この難局を乗り越えるのみならず、企業の「成長エネルギー」の源泉を、今一度確認する機会としたいものです。

2009年2月10日火曜日

2月10日 モーニングセミナー 「倫理と出会って~普及は宝~」


本日は法人レクチャラー、柴崎猛様の講話です。

私は法人レクチャラーになって2年目です。
自動車部品製造を行っている私の会社、シバサキ製作所は、昨年の決算ではこれまでの最高益をあげることができましたが、今年は百年に一度の大不況のせいか、売り上げは半減、雇用調整などもせざるを得ない状況にあります。
ところが、こんな状況になって「いまこそ倫理の勉強の出番が来たね。」と家内に言われてます。(笑

当社は創業昭和31年、私は父の創業した会社を継いでいる、いわゆる2代目社長です。

私が大学を卒業し、数年修行をしてきてから会社を継ごうというつもりでいましたが、父の体調不良で卒業後すぐに会社に入社することになりました。

現場も営業もがむしゃらにやりましたが、創業者のカリスマもないことからか、なかなか成果が上がりませんでした。

そうこうしているうちに創業30年を迎えました。
企業は30年たつと寿命だという話もききますが、このままだめにするわけにはいきません。
創業30周年を機に記念イベントとして社是をつくることにしました。

企業の使命は顧客、社員、家族など、当社を取り巻く人たちの幸せ作りであると位置づけ、「顧客の創造、家庭の創造、地域の創造」の3本を軸とした「みなもとクリエイション」という社是にしました。

実践をしていく中で、まずは率先垂範、機械を掃除・点検をし、熟練工も多い中、若い社員に技術を継承していきながら、若々しい職場作りというのを意識しています。

さて、私が経営していく中での倫理体験をお話しします。


倫理との出会いは平成14年です。深谷市の倫理法人会モーニングセミナーに誘われ、勉強する中で「倫理は実行により直ちに正しさが証明される。」ということをきき、ちょうど幸せの源作りをしたいという思いと合致したこともあり入会しました。

入会後、倫理の先輩方には「倫理は実践が命だよ。」といわれ、何からしようか?と考えました。

まずは早起きからです。

私はこれまで夜型人間でしたが、「早起きは反映の第一歩」、「社長が早朝出勤する会社はつぶれない」と言う話も倫理の勉強の中から聞こえてくるので、それを信じてまずは実践してみました。
するとさっそく効果が現れはじめました。

当社は24時間操業をしていて、夜勤が続く従業員たちには半年に1回の全体朝礼くらいでしか会わなかったのですが、朝早く出勤することでその彼らに直接会えるようになりました。

折角会えたのだからと、こちらからあいさつをかけることで社員の顔がよく見えるようになりました。

しばらくこれを続けていくと、夜勤の人が当日欠勤することがめっきり減り、生産性が大幅にUPしました。


次に、「倫理は掃除。」といいますから、掃除もやってみようと思い立ちました。

どこの会社でも製造現場では4S運動ということを掲げていますが、その割に実践されていないのが現状です。当社も導入時にはなかなかやってくれませんでした。

一方私は早朝出勤することで時間ができるようになりましたので、十数年前から使用している機械を自ら黙々と掃除を始め、一日あたり30分、ねじの溝まで掃除を始めました。

こうした動きを最初は冷ややかに見ていた社員も少しずつ変わってきて、やがて全員が機械の掃除を手伝ってくれるようになり、今では工場中の機械がぴかぴかです。

それだけではありません。
機械の掃除をすることで機械の修繕費が大幅に減少、機械への思い入れも強くなってきて、従業員が自ら直すこともはじめ、毎年捻出していた機器の修繕費としてかかっていた年間一千万円ほどの支出が減りました。
いずれも効果を狙ったわけではありませんが、倫理活動を行って会社が儲かってしまいました。

やがてこうした恩恵を受けた私も普及をしなければならない立場になりました。
普及は大変苦しい。やりたくない。私もそう思います。

寄居町はたった3万8千人の人口。そこで法人会を立ち上げてくれと言われても、会の立ち上げはとても無理だと逃げ回っていました。
倫理研究所の売り上げを上げたいから、やらされるんだろうという気持ちもありました。

しかし先輩から、「普及は苦しいからこそ自分を鍛えてくれる。」と教わり、気持ちを切り替えました。

普及に出たとたん、厳しいことを言われ、これほどよい鍛錬の場はないと思います。
説得ではだれも入会してくれません。気持ちの合一、和合しないと誰も入ってはくれないものです。普及活動をしていてこれが少しずつわかってきたように思えてきました。

しかしながら、ビジネスで失敗すると会社がつぶれてしまいますが、
普及に失敗しても倫理研究所はつぶれないから、営業の鍛錬にもよいとおもいます。

ある有名な経営者はこう言っていました。
「ビジネスの成功は相手が何を考え、何を求めているか理解することである。」と。

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相手の気持ちを理解する鍛錬、それが普及であると柴崎様は締めくくられました。
柴崎様は個人のブログでも実践倫理の経験談を書かれています。ぜひご一読を。

参考:シバサキの経営と倫理のブログ

2月10日 モーニングセミナー 「倫理は実践、普及は宝」

本日は法人レクチャラー、柴崎猛様の講話です。

私は法人レクチャラーになって2年目です。
自動車部品製造を行っている私の会社は、昨年の決算ではこれまでの最高益をあげることができましたが、今年は百年に一度の大不況の余波を受けて、売り上げは半減、雇用調整などもせざるを得ない状況にあります。

ところが、こんな状況になって「いまこそ倫理の勉強の出番が来たね。」と家内に言われてます。(笑

当社は創業昭和31年、父の創業した会社を継いでいます。いわゆる2代目社長です。

私が大学を卒業し、数年修行をしてきて会社を継ごうというつもりでいたが、父の体調不良で卒業後すぐに会社にはいることになりました。

現場も営業もがむしゃらにやりましたが、創業者のカリスマもことからか、なかなか成果が上がりません。

企業は30年たつと寿命だという話もききますが、このままだめになるわけにも行かないので、昭和61年に創業30周年を機に30周年の記念イベントを行いました。

このときから企業の使命は顧客、社員、家族当社を取り巻く人たちの幸せ作りであると位置づけ、「顧客の創造、家庭の創造、地域の創造」の3本を軸とした「みなもとクリエイション」という社是を掲げました。

まずは率先垂範、機械を掃除・点検をし、熟練工も多い中、若い社員に技術を継承していきながら、若い職場作りというのを意識しています。

さて、私が経営していく中での倫理体験をお話しします。


倫理との出会いは平成14年に入りました。深谷市の倫理法人会のMSに通い、勉強する中で倫理は実行により直ちに正しさが証明されるということをきき、ちょうど幸せのみなもと作りをしたいという思いと合致したこともあり入会しました。

そこで、先輩方に「倫理は実践が命だよ。」といわれ、何からしようか?と考えました。


まずは早起きからはじめました。

私はもともと夜型人間でしたが、「早起きは反映の第一歩」、「社長が早朝出勤する会社はつぶれない」と言う話も聞こえてくるので、それを信じてまずは実践してみました。
するとさっそく効果が現れました。

当社は24時間操業をしていて、夜勤が続く従業員たちには半年に1回の全体朝礼でしか合わなかったのですが、その彼らに直接あえるようになりました。
折角あったのだから、こちらからあいさつをかけることで社員の顔が見えるようになりました。

これを続けていくことで夜勤の人が当日欠勤することがめっきり減り、生産性が大幅にUPしました。

次に、倫理はまず掃除といいますから、掃除をしてみようと思い立ちました。

どこの会社でも製造現場では4S運動ということを掲げていますが、当社もなかなかやってくれませんでした。

それならばと、自ら早朝出勤することで時間ができるようになりましたので十数年前から使用している機械を自ら黙々と掃除を始め、一日あたり30分、ねじの溝まで掃除を始めました。

最初は冷ややかに見ていた社員も少しずつ変わってきて、やがて全員が機械の掃除を手伝ってくれるようになり、今では工場中の機械がぴかぴかです。

それだけではありません。
機械の掃除をすることで機械の修繕費が大幅に減少、機械への思い入れも強くなってきて、従業員が自ら直すこともはじめて、修繕費を含めるとが年間一千万円ほどの支出が減りました。狙ったわけではありませんが、倫理を行って会社が儲かってしまいました。

こうした恩恵を受けた私も普及をしなければならない立場になりました。
普及は大変苦しい。そう思います。

寄居町はたった3万8千人の人口。法人会を立ち上げてくれと言われても、会の立ち上げはとても大変だと逃げ回っていました。
倫理研究所の売り上げを上げたいから、やらされるんだろうという気持ちもありました。

しかし先輩から、「普及は苦しいからこそ自分を鍛えてくれる。」と教わりました。
普及に出たとたん、厳しいことを言われ、これほどよい鍛錬の場はないと思います。

説得ではだれも入会してくれません。気持ちの合一、和合しないと誰も入ってはくれないものです。普及活動をしていてこれが少しずつわかってきたように思えてきました。

ビジネスで失敗すると会社がつぶれてしまうが、普及に失敗しても倫理研究所はつぶれないから、営業の鍛錬にもよいとおもいます。

ある有名な経営者はこう言っていました。
「ビジネスの成功は相手が何を考え、何を求めているか理解することである。」と。

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相手の気持ちを理解する鍛錬、それが普及であると柴崎様は締めくくられました。

2009年2月6日金曜日

今週の倫理 (598号)より プロとアマの違いは準備に対する姿勢

世間では、「新型インフルエンザ」が流行するのではないかという予想がなされ、街を歩く人々の姿も、例年以上にマスクをした姿が目立ちます。見えない病原菌に対する準備として、多くの人が危機意識を持って、準備をしている様子が伝わってきます。

さて、私たちは物事に取り組む時、その「準備」を行ないます。しかし、多くの場合、この「準備」は、その物事にとって実質的に必要なことを整えているに過ぎないのではないでしょうか。
例えば、新規事業のプレゼンテーションを行なうのに、資料のコピーや、発表用の原稿作成を抜かりなく行なう。週末のゴルフコンペに向けて、道具の手入れやコースの状態を確認する。皆さんにも経験のあることだと思います。

しかし、物事に臨む時の「準備」とはこの程度のもので良いのでしょうか。
高知商業高校から明治大学を経て、読売ジャイアンツと西武ライオンズでリリーフ投手として活躍した鹿取義隆氏は、その著書『救援力』(ベースボールマガジン社)の中で「準備」について次のように記しています。

 リリーフ投手は、試合では1球で勝負が終わるときもありますが、その1球のために、キャンプで2000球を投げ込み、シーズンへ入っていきます。ペナントレースの大事な場面、1球ですべてが変わってしまうような状況で自信を持って投げるために、2000球の積み重ねがあるのです。

「どれだけやればいいのか」「何を用意しなければならないのか」その全体像が予想できない、先行きの見えない状況で行なう「準備」では、実質的な面よりも、心の面が重要であることが伺えます。

 米国発の大不況が日本を脅かし、今までのやり方では通用しないといわれる最近の状況では、実質的な「準備」もさることながら、心の「準備」も怠ることなく完全にすべき時といえるでしょう。

 倫理研究所の創設者、丸山敏雄も『万人幸福の栞』の中で「練習するということは、その仕事なり、競技なりに慣れて間違いのないようにするのが、その形から見たところで、その実は、信念をつけるのである。きっと出来るぞ、きっとやるぞ、と動かぬ信念がその事を成就させる。」と、物事に臨むにあたり、心の準備が重要であることを説いています。

 毎日の仕事や私生活、要するに私たちの人生は、明日、いや一時間後どうなっているか分からない、全体像が全く見えないものの代表格といえます。いつピンチになり、いつチャンスが巡って来るか、全く予想が立ちません。

 だからこそ、その「準備」は毎日行なわなければなりません。「今日は出番がなさそうだ」では、物心両面において準備不足となり、一度や二度は持てる能力で誤魔化しが利いても、そう何回も上手くは運ばないでしょう。

 日々の生活に、折り目けじめをしっかりとつけて、常に心を準備万端の状態にしておきましょう。

2009年2月3日火曜日

2月3日 モーニングセミナー 「新しい国のかたち」


本日は当会顧問、元総務大臣の菅義偉氏による講話、テーマは「新しい国のかたち」です。

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本日は、現政権の中で新しい国の形をどうしていくかという点をお話しします。

これまでの日本は、まさに日本が占領されたときにつくった仕組みが未だに残っています。
こうした戦後の仕組みが今の時代にあっているだろうか?
これを変えていくのが政治であり、これらの枠組みをはじめて正そうとしたのが安倍内閣だったと思っています。

この時は、時代にあった憲法に変えていこうと憲法改正の手続きをはじめました。
国を愛する心を全く教えていない。公共心について全く教えていない、
今の学校教育のなかでは、日本人として背骨になる部分をまるで教えていない。
こうした多くの問題を抱えた教育基本法の改正にも手をつけました。

年金については、何から何まで先送り。とてもひどい状態だった社会保険庁改革にも手をつけました。
こうした動きの中で、最後の戦後体制を維持しようとした人たちが、マスコミを含めて様々な問題が顕在してきたこともまた事実です。

これらを戦後レジームからの脱却として、未来に向けて多くの改革を掲げてきました。
さらには、ふるさと納税、地方分権などこういったことをつぎつぎにやってきました。

霞ヶ関の官僚はこれまでの権益に守られてきました。
時代が変わっているのにこのままがよい。できない理屈を並べる天才が官僚です。

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現政権となり、私と麻生総理とはこれまでさほど長いつきあいではありませんが、選挙時に思いをひとつにして応援した私を麻生総理は要職に登用し、今は総理大臣に苦言を呈しているというのが私のスタンスです。

麻生総理は9月24日に首班指名を受け、その頃は確かにすぐに解散するつもりでいらしたようで12月には選挙をすることを決めていましたが、9月25日から国連総会に出席し演説、アメリカの要人に会い、帰国してからというもの金融危機は日本で感じているより、はるかに深刻であることを知った総理は、こんな時に解散・総選挙などをしていてよいのか?という気持ちになったようです。

それを受けるかのように所信表明の時に、道州制、地方分権、教育改革などを表明、その二日後NY史上初めての大暴落、日本でも株価が1000円も落ち込みました。

こうした中、マスコミは選挙をあおりますが、全く予測のつかない状況で解散総選挙などすべきではないと私も進言しました。

景気の後退局面においてすぐさま対策を行っていくべきだから、当然のごとく解散をしないシナリオに入っていく。
金融のためのサミットが開かれ、世界で日本とアジアとヨーロッパの首脳会議が開かれ、次から次へと手を打っていきました。

1次補正予算案を出したのち、2次補正予算を出さないことを決めたとたん、景気対策をすると言ったのにと方々から文句を言われました。

緊急の補正予算にも参議院の審議を経る必要があるため、参議院で否決されると廃案になり、まるで間に合わなかったことが手伝ってしまいました。

本予算案も年度内に成立しなくなってしまう。このねじれた状態が続いているため、
1月5日に招集、予算関連法案についても野党が反対しているため進んでいない。

予算案にはニュースなどですでにご存じかと思いますが、高速道路値下げの法案も
あります。これらは地方活性化のための予算です。

少子化のための予算も大きな課題です。
分娩費や予防接種も予算に盛り込み、雇用も守る緊急対策予算も組んでいます。

こうした予算関連法案もねじれのせいで、通過するのは2ヶ月かかります。
こうした予算案はどうしても通さなければならないものです。
ぐずぐずしていて皆さんの生活に迷惑をかけることになるくらいなら、
衆議院で再可決しますから、野党の方々は早々に否決してくれた方がよいとさえ思っています。

私たちはいま、内需喚起のための予算を組んでいます。
中小企業対策、100パーセントの貸付枠、雇用対策三年間で160万人の雇用創出。
地方には雇用創出の法案、設備投資の融資制度、住宅ローン減税、自動車のハイブリッドカーの補助など。また、円安にするための方法も検討しています。

世界同時不況下ではやらなければならない景気対策のための予算の早期成立、同時不況における世界との連携のすぐあとには、教育の再生、公務員改革、地方分権などこれからの日本のための形作りにはいっていきたいと考えています。

特に教育の問題は根が深いと思います。
ふるさとを大事にする、親を大事にするといったことを盛り込むのにも
日教組の抵抗がつよい。
子供の健康な発育には「早寝早起き朝ご飯」。これすら反対されています。

子供の時は反復練習をさせて覚えさせることも肝要だと思っていますが、
日教組によると競争はだめ、学芸会の主役もみんなを主役にしたいからと、5分ごとに変更するといったおかしな平等がまかり通っています。
これら自由や平等をはき違えている点も直していかなければならないと思っています。

また、道州制についてですが、現在はまさに中央集権国家です。
これを改革し国から地方へ権限を委譲すべきだと考えています。

国は国のすべきこと、役割があります。
外交や通貨、防衛などをおこなうべきでしょう。

一方、地方には地方の慣行や特性、魅力があるわけですから、こうしたものに対して中央からあれこれ指図せず、尊重し、実態に即した運営ができる国にしていきたいと思っています。
つまりは、地域主権の道州制へと替えていく必要があると思っています。

そうすることで少子化と高齢化により人口が減少しつつ、国際化も求められる
日本が生き残っていける道だと思っています。

私は経済がだめでつぶれた国はありません。
自分の国の歴史や文化を大切にしなかったことでだめになった国は多い。
歴史が語る多くの教訓などを生かしながらしっかりと発展できる日本をつくっていくことが私たちの役目だと思っています。