2009年2月20日金曜日
今週の倫理 (600号)より 会社は誰のもの?喜働への基盤づくりを
「会社は誰のためにある?」
この命題に明確に答えているのが、『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)の著者・坂本光司氏(法政大学大学院政策創造研究科教授)です。
氏は長期好業績企業や、世のため人のためになる経営に懸命に取り組んでいる企業を訪問調査しており、その数は六千社を超えるといいます。
そうした企業を訪問して実感した共通点が、著書の中で述べられています。
会社経営とは「5人に対する使命と責任」を果たすための活動。
一、 社員とその家族の幸せ
二、 外注先・下請企業の社員の幸せ
三、 顧客の幸せ
四、 地域社会の幸せとその活性化
五、 自然に生まれる株主の幸せ
私が社員を一番目にあげる理由は、お客様を感動させるような商品を創ったり、サービスを提供したりしなければいけない当の社員が、自分の所属する会社に対する不平や不満・不信の気持ちに満ち満ちているようでは、ニコニコ顔でサービスを提供することなどできるわけがないからです。
栃木県にある旭自動車株式会社も、社員第一を旨に、日々努力している企業です。業種は大型トラック・バス等の自動車修理業で、従業員数は四十二名です。
社内には「世界一おいしい」社員食堂があります。有機米・EMコシヒカリと手づくり味噌、そして生体エネルギーを応用した水と電気を使って食事が作られています。激しい労働のあとの昼食は、社員にとって心も体も温まるホットなひとときとなっているようです。
厚生労働省から快適職場の認定を受けた「手造り会議室」(社員の手造り)で早朝行なう「誕生会」も心温まる時間です。朝七時三十分から毎日勉強会を行なっていますが、誕生会の日は、誕生月の社員が「両親への感謝」の実践報告をし、最後に社長より誕生プレゼントが手渡されます。参加者全員の拍手の中、対象者一人ひとりと「おめでとう」「ありがとうございます」と握手が交わされます。個々の社員を大切にする社長の思いやりの心がそこに見られます。
『万人幸福の栞』には「喜働」の精神、つまり仕事にやり甲斐を持ち、喜んで働くことの大切さが説かれています。もちろん「心の持ちよう」も大切ですが、「喜働」に向けた基盤づくりも必要です。経営者が社員を大切にする気持ちが、社員の喜働モチベーションの高揚に繋がり、そのような社員だからこそ、お客様に喜んでいただけるような働きや応対ができるのです。
会社は経営者や株主のものではありません。その大小にかかわらず、従業員や家族、顧客や地域社会など、その企業に直接かかわるすべての人々のものなのです。(同前)
もちろん、社員の一番の幸福は、所属する企業の業績が安定・上昇することです。厳しい環境にある今、「使命と責任」を果たすべく、経営に精励していきましょう。
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