2007年10月23日火曜日

10月23日 モーニングセミナー



今日は指揮者・湘南エールアンサンブル音楽監督の中島良能氏による講話、「指揮者と企業管理者のリ-ダーシップについて(指揮者によってなぜオーケストラの音が変わるのか)」です。

レジメより・・

指揮者は演奏家でありながら自らは音を出さない。にも拘わらず演奏結果に対して全責任を負っているという点で組織のトップに似ている。指揮者のリーダーシップを企業管理者のそれと対比しながら、どこまで個々のプレイヤーを支配できるのか、又プレイヤーとのコミュニケーション等について説明し、同時にヨーロッパと日本のオーケストラの実力の違い、小澤征爾氏の指揮者としての実力にも触れる。

講演後、中島様より講演のテキストをお送りいただきました。
ご厚意に甘んじでそのまま掲載させていただきます。




指揮者と企業管理者のリーダーシップについて

指揮者によってなぜオーケストラの音が変わるのか
    中島良能(指揮者)

オーケストラの指揮者は、100-150年くらい前に現在のような形となった。それまでも「拍子とり」としての指揮役はプレーヤーの兼任などで存在したが、楽曲や編成の複雑化に伴い専業の指揮者が表れ、自らの音楽観によって音楽を表現するようになった。
指揮は通常、指揮法というメソードで行なわれ、その中では打点(音を出す点)の表示が明確で、細かいところまでキチッと表現、指示ができ、リーダーシップがとれる日本の斎藤指揮法が一世を風靡した。日本では夫々のプレーヤーは勉強したバックグランドが異なるので、これをまとめなければならず、またアマチユアや子供のオーケストラの指導に特に威力を発する。又指揮コンクールのような短期決戦にも強く小澤征爾氏ほか多くの日本人指揮者が、それにより世界の舞台に踊り出た。
しかし、ヨーロッパのプロのオーケストラでは、指導力が強すぎて逆効果となる事が多い。もともと彼等は体内にリズムや音楽的感性を充分もっているので、それを引き出す事が重要で、支配過剰となっては良い演奏は期待できない。

又日本のオーケストラの実力は、日本人が勤勉で、競争もあり教育環境が整っていて、楽器も良いものを持っている割には高くない。この理由は各プレーヤーの学んだ背景が夫々異なるからで、ある人はドイツで学んでその奏法を身につけ、ある人はフランスでと、音楽観や奏法の異なるプレーヤーが一緒になってひとつの音楽を奏でるので、良い調和が生まれにくい。それを補うのは練習だが、経済的な理由で、練習回数は多く取れない。

それに対してヨーロッパでは、同じ地方に育った音楽家は音楽的感性がもともと一致しており、合奏の基本条件をはじめから備えているし、スポンサーシップもしっかりしていて練習回数も多い。

私が最初に指揮をしたルーマニアのオーケストラは西端のオラディアと言う町の国立オーケストラで、町の雰囲気もオーケストラの音もウイーンに似ていて、軽やかであった。つぎに指揮をしたのは今度は東端のボトシャニというウクライナに近いオーケストラで、ここのオーケストラの音は重く、同じ国と思えないものだった。このような感性の違いは指揮者に演奏上の全権があるからといって、変えられるものではなく、むしろそれを前提に、夫々の良さを活かすという観点から違う音楽作りをするのが正しい。

加えてそのオーケストラがどんな音楽的特性をもっているかを早期に見抜き、対応するコミュニケーション能力が重要である。この為には指揮者であるからといって相手を支配するのではなく、相手を聴くという心構えが大切である。

考えてみると企業管理者の場合でも、昔は理想の部長などという概念もあったが、昨今は情況対応型リーダーシップ論が主流であり、例えば新入社員の多い課の課長とベテランの多い課の課長は当然そのリーダーとしての行動は当然異なるべきである。又部下との間、例えば部長と課長の間で、達成すべき目標の方向が部長は右だと思っていたのに、課長は左だと思っているようでは、幾ら努力してもすれちがい高い評価は得られないばかりか不信感が増大し、又全体の行動にも悪影響がある。年初は一致していた目標も新製品や競争相手の出現により、どんどん変わっていくので、常に充分コミュニケーションを取り合う事が重要である。
それは、曲の時間的進行によって変っていく指揮者も全く同じであり、考え方に於いて会社での管理職経験が大いに役立ったと思っている。


・・・中島様、すばらしい講演をありがとうございました。




本日は先の参議院選挙で当選された水戸まさし氏がお見えになりました。水戸氏は戸塚区倫理法人会の会員であり、まれに中央倫理法人会へも参加されています。
ほんの少しでしたがご挨拶いただきました。





本日のMSには横浜市倫理法人会の小野会長と横浜市磯子倫理法人会の副会長大上氏がお見えになりました。

合同のイベント、「ゴルフコンペ」を企画されたとのことで、お誘いいただきました。

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