中日本のある街に、その地域はもとより、全国的に知られる優良企業があります。トップの経営に対する考え方はもちろんのこと、四十七年連続で増収増益を続けていることが強烈なインパクトとなっているのです。経営者であれば誰もが羨むような業績に、講演依頼や企業見学の申し込みがひきもきらないといいます。
しかし「羨ましい」と感じる一方で、「現実にはウチのような会社では…」と考えてしまう方も多いでしょう。不景気、地域性、業種として内在する諸問題、会社内部の課題など、「~だから難しい」というマイナス要因は挙げればきりがないでしょう。先に挙げた優良企業はいうまでもなく、そうしたハードルを一つひとつクリアしてきました。
しかしながら、企業経営の中で起こる問題を乗り越えていく前に、打ち破らなければならないものがあります。それは、私たちが無意識のうちに作り上げている心の限界線です。
倫理法人会においては、経営者諸氏が純粋倫理と呼ばれる生活法則をよりどころにしています。人間力を磨き高め、倫理経営を推進していく上で、その核となるのは「純情―スナオ」な心の構えを実践によって練り上げていくことです。それが人間の本来持っている大きな力を発揮させる可能性を高めていくことと直結しているのです。倫理運動の創始者丸山敏雄は、そこで大切なのが「命の自覚」であると訴えました。
「自分の物と思い込んでいた肉体は、実は我が体ではなかった。偉大極まりもない大自然の生んだ命であった。それをうっかりして、小さな限られた力、定まった働きと見くびっていた。
ここに気がついて、一切の気がかりをすっぱりと投げ捨てた時、自己の存在が実になる。命が自覚し、(中略)本当に、心のスイッチの入ったときである。このとき生命力、我が命の生きる力のことごとくが、在りのままに働き出す。(中略)これは大宇宙の本体、宇宙生命と一つになる事である。大生命に生きる、とも言えるのである」
(丸山敏雄著『人類の朝光』一二七頁)
親から受けた命、偉大な力によって授けられた命、この自覚こそが己の無限の可能性を発揮せしめるもとになるのです。
小さな我(わがまま)に引きずられ、心が後ろ向きになっていては、充実した人生などあろうはずがありません。
目の前に次々と現われる状況を、これこそ己の生命を燃え立たせるチャンスと捉えて果敢に進んでいくとき、周囲は動き、思いもよらぬ応援者が現われ、環境を劇的に変えていくことができるのです。
生命を何のために使うのか。その志をしっかりと定め、企業・家庭・地域を変えつつ周囲をグイグイと引っ張っていくリーダーとして、「日本創生」を成し遂げていきましょう。
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